第二話 ページ3
彼の自己紹介の後、根津校長から今後の方針などの説明をされる。事前に彼の体や活動限界については私達教員に説明はされていたが、実際の姿に言葉を失っている人もいた。
｢さぁ！次はこちら側の紹介といこう！僕の紹介はあらかじめ終わっているからね！1年教員からいこうじゃないか！｣
次々と先生方の紹介が終わっていく。私は2年の教員であるため、自己紹介を考える猶予はまだある。“平和の象徴”という大きな存在の前で、緊張し大きく音をたてている心臓を深呼吸で整える。どうやら1年の方でマイクが何か騒いでいるようだが、気にしないでおこう。
｢次は2年教員さ！ヒーロー科から頼むよ！｣
校長の声でスナイプ先生が自己紹介をはじめる。いよいよ、私の番だ。
｢はじめまして、オールマイト、2年B組担任の風間Aです。ウィンディーとして、ヒーロー活動をしています。よろしくお願いします｣
上手く笑えているだろうか。近くで見る彼は思ったより身長が高く、やせ細ってはいるが強いカリスマ性を感じ少したじろいでしまう。
｢こちらこそ、よろしく。ウィンディーのことは、よく耳にしているよ。君の事件解決の話をよく聞く。本当に助かっているよありがとう｣
｢いえいえ。そんな、ありがとうございます…｣
彼が自分を知っていたこに少し嬉しく思いつつ、感謝を述べ、握手を交わして私の自己紹介は終わった。実を言えば、彼が自分なんて知っているはずがないと思っていた。なんせ彼のように大事件を解決してるわけでもなく、活動区域もバラバラでメディアにも全く顔をだしていなかったからだ。
やはりしかし
彼の面影はあの人を彷彿させ、体奥底にあるドロドロとした黒い感情が私の心を蝕む。あの人が彼と合わなければ、彼がヒーローを目指さなければ…彼がいなければ…あの人が……いや、やめておこう。こんなことをあの人に知られたらきっと殴られるに違いない。きっと凄く痛いだろうな。嗚呼、逢いたい。
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作者名：霞莎 | 作成日時：2021年1月14日 22時
