冴くん私に何求めてんの。 ページ8
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私には推しが分からなかった。
定食を食べ終え、
食器を片付けた後に、フルネームやめろと言われた。
だから、冴くんって呼ぶと、
無表情がいつもの彼が、
にんまりとした笑みを浮かべて、
私の名前を呼ぶから、録音しようとしたら、
死ねと言われる。
いつも通りである。
冴「お前はついてくんな。」
高橋さんにそう告げる冴くん。
高橋さんは絶望のような顔である。
まぁ仕方ないよな、サッカーが好きってより、
糸師冴が好きって感じだもの。
サッカーが好きな彼からしたら、失礼なんだろうな。
「って、え。冴くん、どこ行くの。」
冴「決めてねぇ、お前はついてこい。」
「えぇ、冴くんってわかんない。
歩くなら、高橋さんの方がいいんじゃない?」
冴「ばかが移るだろ。」
「私のことバカって言うのに?」
冴「許せる馬鹿なんだよ。」
その言葉の意味も分からないけど、
まぁいいか。
ちらり、高橋さんを見た後に、
睨まれたため、慌てて目を逸らした。
冴くんについていけば、大通り。
案外、人々は冴くんには気づかない。
こんな、変装なんて微塵もしてないノーマルなのに。
冴「誰かが騒げば群がるだけのやつらってこと。
この後予定あんのか?」
「あるって言えば、解放してくれんの?」
冴「は?そっちの予定キャンセルに決まってんだろ。」
「糸師冴がわからなすぎる。」
冴「うるせぇ。」
相も変わらずのこの態度に、
私は慣れてしまう。
けど、まぁいいや。
どこに行く予定も決まっていない彼を見つめては、
服の裾を引っ張った。
「じゃあ私が案内してあげる。
瀬山ツアーです。」
冴「下らなかったら、お前が俺の分払えよ。」
「えぇ、庶民的なとこしか行くつもりないけども。」
冴「さっさと連れてけ、瀬山ツアー。」
振り返ってそう言う冴くん。
やっぱり私には壁がわからない。
そう思いながら、にんまりと笑みを向けてあげた。
ふふん、瀬山ツアーを舐めないで欲しいな!
家族とちびっ子からはそれなりに好評なのだから。
「後悔すればいい。」
冴「仮にも推しに言うことじゃねぇだろ。」
頬を引っ張られた。
すいません、私の頬は餅ではないので、
全く伸びません。
あと、普通に痛いですけど、旦那さん???
悪びれる様子もなかった。
イニシャル入りのキーホルダー。→←普通過ぎるがゆえの好奇心である。
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夏蜜柑 - 冴ちゃん最推しなのでもう、最高でした!! (2023年2月1日 8時) (レス) @page48 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
甘いものと眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます!毎朝この小説の更新を楽しみにしてました!!これからもずっと応援してます!!! (2023年1月29日 7時) (レス) @page50 id: 10f6e45005 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 完結おめでとうございます👏🏻🎉✨最初から最後までとても素晴らしい作品でした。ことりさんの書く作品は、どれも読んでいてワクワクするようなものばかりです。これからも、他の作品での活躍を楽しみにしています🌷🤍 (2023年1月28日 8時) (レス) @page50 id: fb39a53612 (このIDを非表示/違反報告)
お饅頭(プロフ) - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!!完結してしまったのが寂しくも嬉しくも感じます、完結までが完結してしまうとあっという間に感じました。改めて素晴らしい作品を完結まで続けてくださりありがとうございました!そしてお疲れ様でした! (2023年1月28日 1時) (レス) @page50 id: c1e1b186de (このIDを非表示/違反報告)
tomato(プロフ) - さいっこうに面白かったです!冴オチの夢小説はこれが初めてだったんですが、面白かったので他のも見てみようと思います!文章の書き方とか、文字の選びが凄い好きなので、他の作品もみようと思います!お疲れ様でした! (2023年1月27日 23時) (レス) @page50 id: 9d5bc87a7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年1月1日 2時