推しが路地裏から飛び出してきた。[ 終 ]

普通過ぎるがゆえの好奇心である。 ページ7

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冴 side





めんどくさいマスコミから逃げた。




マネージャーは慌てていて、
マスコミ共は俺を追いかける。

そんなことしてる暇あんなら、




他のことでも取り上げりゃいいのに。


そもそも日本のマスコミも、サッカーも、

廃れすぎていて意味が無い。
路地裏を抜けた先、




光が眩しかったと同時に、鳴り響くガラス音。





目の前のそいつは、俺のファンだというのに、

ちゃんと弁償しろと言い退ける。
別にんなことぐらい、安いものだから、

さっさと払った。





他の奴らと同じ、サッカーのことは知りもしない女ファン。





それが、俺がそいつに向けた印象。
不意に聞こえたサッカー選手の名前。

大会の名前に、勝敗の話。





こいつ、ちゃんとサッカーファンだ。






そう思ったが最後だったのかもしれない。
別れてから、少しの好奇心が俺を覆う。

才能とか、そーゆーのではないけど、





面白そうだと思ったんだ。






次の日も抜け出して、
昼飯を和食にしたくてのフードコート。

地味にうめぇんだよな。




野菜炒め定食を注文した後、

席を探せば昨日のアイツ。
相席だなんて、ファンのお前からしたら嬉しいことだろ？






なんて、お前のことなんざ、どうでもいいのにな。




｢糸師冴、また抜け出したんか。｣



冴｢関係ねぇだろタコ。｣

｢女の子に向かって言うことかなぁ！？｣





高橋｢さ、冴くん！私！！｣




冴｢お前に関しては名乗れよ。
つーか、名前で呼ぶな。｣


｢糸師冴怖すぎだろ。｣





冴｢お前は何時までフルネームで呼ぶんだ、うるせぇ。｣


｢えぇ、｣




いつまでものフルネームにイライラしていた。


つーか名乗りもしねぇ女に、
名前で呼ばれたくもねぇよ。





そう思いながら、目の前の瀬山を見つめる。




｢糸師、｣


冴｢は？｣


｢糸師兄。｣


冴｢死ね。｣




｢えぇ、じゃあ冴くん。｣





そいつに名前を呼ばれる感覚に、
変な感じがする。



まぁいいか、許してやる。


熱狂的なファンには、優しく、だろ？
知らねぇけど。





冴｢許可してやるよ、A。｣





っはは、としたような笑いをしながら、
名前を呼んでやれば、どうだ。



目の前のそいつは、

簡単に目を丸くした後に。






｢録音、したいので、もう一度。｣




冴｢しね。｣





顔を赤らめるわけもなく、スマホを向けられた。




こいつやっぱ、
そこら辺のやつらと違ぇな。



好奇心でしかない。

冴くん私に何求めてんの。→←お兄ちゃん属性出てるぞ、糸師冴。

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