どこぞの少女漫画かしら。 ページ2
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「じゃあね、やもん。」
八雲「寄り道しないでね。」
「高三に向かって言うことじゃないのよ。」
そう返しては、笑いながら手を振る。
やもんはバイトで、私はそのまま買い物である。
今どきの子はメイクをしない、なんて有り得ないのだから。
前からお金を貯めて、買ったのはブランドの化粧品。
ブルベな私に合うのが中々なくて、
やっと出た新作は私のためのもの、かと思うほど。
丁寧にショッパーに入ったのを見て、
ニコニコしていた。
のなら。
突然の衝撃と、尻もち。
そして、ガシャン!!!と音を立てた目の前のショッパー。
ぐしゃっとなっているのを見て、
絶望を感じる。
睨みつけるように見上げたつもりが、
瞳は垂れていく。
あれ、なんでここに。
「糸師冴!!!!????」
冴「声でかい、バレる。」
「え、え、なんで。」
冴「うるせぇっての。」
「で、でもとにかく!!!
私の化粧品は弁償して下さい。」
冴「は?」
「え、だって、踏まれてるから。」
足元を指さしたのなら、
糸師冴は、下を向く。
自分の足元にあるショッパーを見て、
ゆっくりと足を退かしていた。
え、可愛い、なにそれ可愛い。
冴「いくら?」
「え、」
冴「いくらだ、って聞いてんだよ。」
「おぼえてない。」
冴「自分の買ったブランドの値段も分かんねぇの?
っはーー、ついてこい。」
そう言われて、ショッパーを拾いあげ、
私の腕を掴み、無理やり立たせる糸師冴。
そして、ずんずんと歩いていく背中を見つめた。
え、ちょっと待って、たんま。
あれ、え、あれ????
私今やばいんじゃないの。
ヤバいとかじゃない。
明日、死ぬんじゃないのか。
「えっ、え、どこ行くんですか!」
その問いかけに、いきなり振り返る糸師冴。
いきなりの顔面ドアップに、変な息が出そうになる。
ショッパーを掲げられては、
睨まれるようにと言われた。
冴「お前が弁償しろって言うから、
弁償してやるんだ。ばかか。」
「うぇ、え!!!え、
すいません、今ちょっとキャパオーバーなんです。
とりあえず、糸師冴、サインください。」
冴「黙ってろ。」
「ハイ。」
また手首に力を入れられて、
ずんずんと歩いていく彼。
それについて行くしなかった。
どうしよう、少女漫画よりも下手な少女漫画かもしれない。
すいません糸師冴、金で殴らないでください。→←人生には転機が付き物である。
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夏蜜柑 - 冴ちゃん最推しなのでもう、最高でした!! (2023年2月1日 8時) (レス) @page48 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
甘いものと眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます!毎朝この小説の更新を楽しみにしてました!!これからもずっと応援してます!!! (2023年1月29日 7時) (レス) @page50 id: 10f6e45005 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 完結おめでとうございます👏🏻🎉✨最初から最後までとても素晴らしい作品でした。ことりさんの書く作品は、どれも読んでいてワクワクするようなものばかりです。これからも、他の作品での活躍を楽しみにしています🌷🤍 (2023年1月28日 8時) (レス) @page50 id: fb39a53612 (このIDを非表示/違反報告)
お饅頭(プロフ) - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!!完結してしまったのが寂しくも嬉しくも感じます、完結までが完結してしまうとあっという間に感じました。改めて素晴らしい作品を完結まで続けてくださりありがとうございました!そしてお疲れ様でした! (2023年1月28日 1時) (レス) @page50 id: c1e1b186de (このIDを非表示/違反報告)
tomato(プロフ) - さいっこうに面白かったです!冴オチの夢小説はこれが初めてだったんですが、面白かったので他のも見てみようと思います!文章の書き方とか、文字の選びが凄い好きなので、他の作品もみようと思います!お疲れ様でした! (2023年1月27日 23時) (レス) @page50 id: 9d5bc87a7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年1月1日 2時