お母ちゃんが買ってくれたスーツ。 ページ26
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ジンジンとした痛み。
相も変わらずに話しているのを、
聞いているだけだった。
スピーカーモードにしなくていいよ。
どうでもいいし。
『助けに来ないって言うのか。』
ジン『下っ端が死のうが関係ない。』
『っは、それなら殺しても構わないんだな。』
そのやり取りを聞きながらも、
当たり前だよなぁって思っていた。
そんなの気にしたこともないのに。
聞こえてきたのは、キャンティさんの声。
いや、他の人の聞こえてきた。
バーボンさんとか、ベルモットさんとか。
酷く、なんでって問いかけたかったんだ。
キャンティ『助けに行かないって言うなら、
あたい1人でも助けに行ってやる!!』
バーボン『落ち着いてください。』
キャンティ『離せ!このまま見殺しにするぐらいなら!
このまま死なせるぐらいなら、全員殺してやるさ。』
ベルモット『相変わらず、気が短いのね。』
キャンティ『黙んな、それともなんだい。
助けに行って、返り討ちにされるのが怖いのか。』
ベルモット『なんですって。』
電話越しに喧嘩をしないでくれ、恥ずかしい。
なんだろ、変な気持ち。
あの時なんて、誰も助けてくれやしなかった。
むしろ、見捨てられる方がマシだった。
お母ちゃんが笑っていてくれたなら、
それで良かったから。
けど、私のせいで悲しい目に合わせた。
だから。
「殺すならとっとと殺してください。」
『こいつは死ぬ気でいるぞ。』
キャンティ『ばか!!んなこと、』
「生きてても、死んでも、たいして変わらない。
殺す殺すってジンさんは一回も、
本気で殺そうとしてくれませんし!
それなら、だったら、
どこで死んでも大差ない。
そうですよね、ジンさん!!!
だって私は、代わりのきく下っ端ですので!」
そうやって大きな声でいえば、
ツーツーとした、
電子音が鳴り響いていた。
そりゃそうだ、元から下っ端なのだから、
期待なんてする方が馬鹿らしい。
期待、してたんだ、私。
やっぱ馬鹿だなぁ、来世は天才がいい。
そんなことを早くも考えてしまう。
お母ちゃんのこと、一人にしちゃうな。
買ってくれたスーツに穴開けてごめんね。
せっかく買ってくれたのに、穴開けた。
ごめん、
ごめんね、お母ちゃん。
最後まで親不孝者で、
本当にごめん、お母ちゃん。
床を濡らしたのは、汗に違いない。
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とまと(プロフ) - 初コメ失礼します!続編おめでとうございます…この小説大好きなので嬉しい限りです!これからも応援してます!! (5月9日 22時) (レス) @page50 id: a58e0df712 (このIDを非表示/違反報告)
す ズ き(プロフ) - マジでただのワガママなコメントなんですけど良かったらピンガとか出して貰えませんか…! (2023年4月30日 14時) (レス) id: 0fae52931b (このIDを非表示/違反報告)
くるん - 最高小説!!!!ありがとうございます! (2023年4月17日 3時) (レス) @page46 id: ebb5ee106d (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - まさかの血繋がってないんかいw (2023年4月15日 21時) (レス) @page45 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - この小説好きです!!!結婚してください!!!!((( (2023年3月27日 13時) (レス) @page43 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2022年5月2日 5時