好きな人に彼女が出来た件について。[ 終 ]

気づいてたのに、知らんかを。 ページ23

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乾 side




今井Aという女は、
ただのおかしな奴だ。



出会いは、出所してたとき。


ココと一緒に俺を迎えた。





そうしたら、そいつは、笑いながら、
顔が綺麗だね、なんて言っていた。


火傷跡を見て、言ったんだ。




自分からしたら、色んな感情があるのに、

それを投げ飛ばすかのごとく、
笑って俺に手を差し伸べていた。





今井Aという女は、


どこか、憧れのあの人にも似ていた。





喧嘩なんてするような女でもないし、
口が悪い訳でもない。


だけれど、不良だとか類に好かれるタイプ。





大寿に対しても、普通に接していたのだから。




そんな彼女に愛されてる自信しかなかった。
当たり前のように、俺に毎日愛を伝えて、

俺はその愛に答えようともしないけど。






当たり前だと思ったんだ。



だけど、俺が絢音と付き合った後に、
2人が交際したと聞いて、




わからなくなった。


自惚れてたのかもしれない、それでも良かった。




キス現場を目撃して、
何かあればAを連れ出すココを止めて。






何がしたいの、なんて問いかけられても、


俺はきっと答えられない。






九井｢愛されてる自信があっても、
イヌピーは好きじゃないんだろ。｣


乾｢大事な友達、｣





｢九井くんやめて、それ以上やめて、
まじで病む、死ぬ、死ぬと思う。｣


九井｢だから、人には死ぬなって言うくせに、
死ぬのかお前は、おい。｣





好きじゃないのか、と言われたのなら、



俺は友達として好きだと言う。
でも、間違いではない。




そーゆー好きだ、きっと。

でも、




俺以外の誰かに余所見してるのは気に入らない。






多分これを、ココに話したのなら、
我儘って言われそう。



乾｢だから、えと、｣



｢あ、うん、気にしないで！ごめんね！
新しい恋のためにも、ふられないと、
私未練タラタラになりやすいからさ！｣






九井｢あほ、｣


その言葉に首を傾げるも、まぁいいかと思う、
今は誰かの、ココの彼女。



ココなら大丈夫だろ、優しいし、





なにより頭も良くて、
きっと守ってくれる。


ずきりとした心に知らないフリをした。






九井｢イヌピー、｣


乾｢なんだ。｣






九井｢俺は、こいつに赤音さんを重ねたことなんて、
1度もねぇからな。｣




その言葉を投げられても、



何も言えなかった、
あぁきっと、このふたりは幸せになる。





なれる、そこに俺が居なくても。


きっと。

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