ある少女の昔話。 ページ37
.
別にどうもなかった。
中学時代に彼氏がいただけ。
ただ、
その彼氏が、
サイテーだっただけ。
そんな言葉を吐き出していては、
今も尚、目の前に映し出されるのは、
夢に違いない。
好きだった、憧れだった。
だから、
ただ隣にいたかった。
そんな願いだらけを、並べながら、
重ねたのは、身体だった。
ハジメテを奪われた、
何もかもの。
そうやって考えていたのなら、
いつだって、
その時の私は、真っ直ぐだったから。
傷ついて、泣いて、
嫌だって叫んだって、
つまんないって吐き捨てられた言葉に、
私は、泣くだけだったんだと思う。
だからこそ、
尚更にその思い出が、
心をえぐるから、私は未来を考えられない。
そんなことを考えていて、
心がボロボロと、削られていくから、
私は、そこから進めないから。
｢そんなハジメテの恋をして、
そこから進むことが出来ないから。｣
そうやって見つめたって、
目を逸らして、
明日を考えることも出来ない。
だから、なんていうのも、逃げである。
っはは、と笑いながら、
ぐしゃっと踏み潰していく。
好きだったんだよ、本当に。
だれよりも、
それなのに捨てられたんだよ。
それなのに、
それなのに？
TH『ジミナのこと、見てあげて。』
ふわり、そんな一言が脳裏を横切る。
真っ直ぐなそんなジミンくんの声も、
瞳も、表情も、
なにもかも。
暗い世界を壊してくるように。
痛い、痛いなぁ。
ずっと痛いんだよ。
ねぇ、ジミンくん。
私、
私はね。
｢忘れさせて欲しいだけなんだよ、｣
ポツリ吐き出した世界から、
バチッとしたなにか。
目を開けたのなら、
目の前には、 ハルちゃん。
目を見開いて、びっくりしていたのなら、
ハルちゃんは笑っていた。
HR｢起きたー、お疲れ様？｣
｢寝てた、今なんの時間？｣
HR｢文化祭の出し物決め。｣
｢そっか、｣
寝言なんか聞かれていたらどうしようもないけれど、
そんな話を、
聞いたことは無いから、大丈夫だと思う。
丸めていた背中を起こしたのなら、
バキバキとなる背中。
くぁっ、と欠伸を零しながら、
余韻のようにと広がる、
波紋みたいに。
あの日の記憶。
痛む脳には知らないふりをしながら、
ちらっと見たのは彼だった。
リノリウムの床を濡らした正体。→←時間は止まりも巻き戻りもしない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナタ(プロフ) - ヒロインちゃんが物凄くドライで面白いです(笑)めげないジミンちゃんを応援したくなりますね^^ 更新楽しみにお待ちしてます！ (2021年6月26日 0時) (
レス) id: 062efab65d (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - あぁ...やっぱり好きです！ (2021年6月24日 13時) (レス) id: a8847eed76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2021年6月22日 0時
