時間は止まりも巻き戻りもしない。 ページ36
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時間は過ぎるのが早すぎる。
そうやっていつも考えながら、
無駄のない人生を、なんて思っていたけれど、
そんなこと、出来やしない。
吐き出した息は、どこにも行かない。
目の前の空虚に、
苦しくなったのは、何かである。
時間は過ぎ去るのが早い。
だから、目の前の、全てに理解出来ない。
なんのための修学旅行で、
なんて考えたけれど、終わっていた。
帰る電車の中。
揺れる視界、変わる景色に、何色もない。
ただ失ったのは、
何かだけだから、気にすることもない。
くらむ世界に、目を逸らした。
｢なんだかなぁ、｣
そうやって考えたって、
結局世界は変わらない。
どうしようもない喪失感に、
抗う気にはなれないから。
どうでもいいと投げ出して、
知らないフリをした。
HR｢どうかしたの？｣
｢んーん、別に。ちょっと疲れただけ、｣
ふわり、と微笑むハルちゃんを見つめては、
笑みを浮かべることも無く、
私は、そんな言葉を吐き出していた。
それは嘘に違いない。
脳と心に巣食うそれは、
明らかなる、毒だったのかもしれないから、
それの解毒剤を探すしかないけれど、
見つけられるわけもなかった。
どっかに落としてしまったのかもしれない。
ばちり、目が合ったのはジミンくん。
いつもなら、
見つめられていたけれど、
すぐにふいっ、と目を逸らされる。
もやっとした何か、
バクバクとはやる鼓動に、1人傷ついていた。
馬鹿だなぁ、私。
そんなそとを考えて、
またもや外を眺めるだけ。
少しずつ、元の世界へと戻るようにと、
私の離された記憶は、
そんなの知らないようにと。
目を閉じて、さらに世界から切り離されて。
だからこそ、
私はどうしようもなかった。
逃げるだけなのかもしれない。
それでもいいや、って思って。
きっとこれは恋じゃない。
優越感に浸っていたに違いない。
だから、それはきっと、
私の勘違いだから、
考えるのをやめた。
夢の中にいたとしても、
あの日を思い出してしまうから。
嫌な程に鮮明に覚えているから。
こんな人生やめにしよう、
なんてそんな事ばっか。
揺れる視界、
変わる景色。
吐き出した息は、
思った以上に、重苦しくて、
だからこそ、
尚更に苦しかったんだ。
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カナタ(プロフ) - ヒロインちゃんが物凄くドライで面白いです(笑)めげないジミンちゃんを応援したくなりますね^^ 更新楽しみにお待ちしてます！ (2021年6月26日 0時) (
レス) id: 062efab65d (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - あぁ...やっぱり好きです！ (2021年6月24日 13時) (レス) id: a8847eed76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2021年6月22日 0時
