知らないフリをしたのは誰ですか。 ページ32
.
知っていたけれど知らないフリをした。
というか、
最早周りみんなが知っていても、
知らんかをしていた。
だからなに、それがどうしたの？
そうやって考えてきたからこそ、
私はこれから先もそれを貫くだけだから。
｢ジミンくん、なにしてたの。｣
JM｢修学旅行マジックとか言って、
他クラスの名前も知らない、女の子たちに告白されてた。｣
｢付き合いなよ。｣
JM｢Aがいいから、やだ。｣
そうやって笑って、
そうやって言ったくせに。
嘘つき、大嘘つきだよ。
過去のことに対して、そう思っても意味ないって、
私が1番わかってた。
｢どっかいくの、｣
JM｢2人で話せるところ。｣
｢うぇーー、｣
嫌そうな顔をしたのなら、
ジミンくんは変わらずに笑っていた。
目を逸らして、前を向いて。
秋の紅葉を見上げてしまう。
こんなはずでは無かった。
そうやって考えながら、
目の前にあった、自販機で水を買う。
嫌な汗が流れてしまう。
こんなつもりではなかった。
もう二度と恋なんてしない、
人に程よく好かれるように生きる。
そのつもりだったのに。
一体いつから？いつから私を好きでいたの。
そうやって問いかけても、
きっと君はまた、はぐらかすだけ。
それも、嫌いだよ。
JM｢僕の好意に、かなり前から気づいてたでしょ。｣
｢なんの話、｣
JM｢ほらまた、誤魔化す。｣
余裕ありげに笑って、
水の入ったペットボトルのラベルをいじりながら、
ちらっと私を見るジミンくん。
ジミンくんの近くは嫌いだ。
息が詰まりそうになる。
吐く息がなくなる。
チカチカとして、見たくないものを見てる気分。
眩しくて、輝いていて、
私なんかが触れていいような人ではない。
汚れたこの両手で、手を繋いでいいような人ではない。
なんで。
｢手、繋ぎたいとか、思ってないくせに。｣
ぼそり、と呟いた声は、
空気よりも軽くて、彼には届かなかった。
それでいい。
その方がいい。
歩き出した先はお互いに違う、
あなたは未来を見ていて、私は過去を見る。
歩き出せないのは、私。
知らないフリをしていました。
私の方が馬鹿で、
どうしようも無くて、怯えていて、
それで。
｢ジミンくんの理想の私は、元からいないよ。｣
あなたの理想の私は、
もう死んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナタ(プロフ) - ヒロインちゃんが物凄くドライで面白いです(笑)めげないジミンちゃんを応援したくなりますね^^ 更新楽しみにお待ちしてます！ (2021年6月26日 0時) (
レス) id: 062efab65d (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - あぁ...やっぱり好きです！ (2021年6月24日 13時) (レス) id: a8847eed76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2021年6月22日 0時
