信用してないのはお互い様。 ページ8
.
｢は、｣
渡会｢その手で、奏斗に触らんで、お願いだから。｣
｢えと、｣
風楽｢ひば。｣
渡会｢俺言うて最初から反対だったし。Aちゃんと俺たちじゃ、住む世界って言うの？違うじゃん。奏斗がこの子にそこまでする理由もわからんし、何より俺。君のこと、またも信じてないし。｣
｢それは、お互い様じゃないですか。｣
風楽｢ひーば、それ、言わない約束でしょ。｣
渡会｢いやだって、俺らの手はそこまで綺麗でもないのに、そんな綺麗すぎる手で、触れたら、ダメじゃん。｣
手首をぎゅうっ、て掴まれる。そんな話をされても、私には分からないし。そんなの知らないよ、てする。やんわりと風楽さんに手を払われて、手首を見つめられては撫でられた。きっと、自分たちの手は汚い、と言いたいのだろう。過去のことか、今していることを含んで、汚れていると言いたいのだろう。それに比べて私は綺麗だから、きっとその差について、彼は言いたくて。それを見つめても、嫌だと言っても、風楽さんは変わらないだろうし、きっと逃がしてくれやしない。それなら、さっさと受け入れてしまおう。貰って、さっさと解散して、それでさよならした方が楽なんだろう。それだけを察しては、腕を引き、手を離してもらう。
手首を撫でては、目を伏せる。もういい、もうなんで、連れてきたのは君たちなのにって泣きたくなる。涙をじわっと滲ませながら、威勢よく噛み付いているが、実際には怖くて堪らない。私の家族のことを調べられていたことも、刃先を向けられたことも、マフィアなのも、手首を掴む力が強かったことも、全部が怖い。私はただの大学生だから、ほんとに普通でしかないから。手の甲で涙を拭いながら、前を見て、それから風楽さんを見る。泣いていたのもあるのか、驚いていた後に、困惑の色を映し出される。
｢じゃあもう、これでいいです。｣
風楽｢ロエベ好きなん？｣
｢分かんないです、｣
風楽｢何色がいい？｣
｢う、ぇ。黄色、｣
風楽｢黄色？好きなの？｣
｢ふ、ぅらさんの色、だから、今テキトーに。｣
風楽｢…………えぇ、なに、まって、可愛すぎない？無理、とりあえず黄色の鞄全部買おっか、｣
｢は、ちょ、｣
テキトーに指さしたバッグ。それを取り、黄色のをって言えば、風楽さんの色だからテキトーに、というと嬉しそうにしていた。大量に買われそうなので、ひとつにお願いするしかなかった。それでも50万、高すぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらの(プロフ) - すごく好きな作品です！更新頑張ってください！ (2月12日 1時) (
レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます！ずっと待ってました！！！ (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…！！ (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2023年11月11日 21時
