まじでいらないんで。 ページ7
.
連れてこられた先は、ブランド店が並ぶ所で。
まるで当たり前のように、慣れたようにとVIPルームに通されてるのを見て、本当にマフィアなんだなってことだけを感じていた。改めて先程名乗られる。渡会雲雀さんに、四季凪アキラさん、セラフ・ダズルガーデンさんというらしい。紫に青、赤という並びを見ながらも、私は風楽さんに手を引かれて、エスコートされる。大学生のそこまで洒落てもない私の姿に、店員さん達は何を思っているのだろうか。それを考えながらも、VIPルームに通されて、ふかふかなソファーに座らされて。最新の、新作として出された鞄たちや、限定品だとか。数量限定のものや、予約しなきゃダメなやつまで並べられる。それを見て、かたかたと震えた身体。
これは、おかしいって脳が騒ぐ。エラーを吐き出しては、逃げるための通路を確認する。けど、そこには先程のセラフさんがいて、ソファーの後ろには渡会さんと四季凪さんがいる。だから、本能が言うのだ。逃げれない、って。
｢や、あの、私そのために手当とかしたわけじゃなくて、｣
風楽｢知ってる。｣
｢は、｣
風楽｢これは僕が君にお礼したくてしてること。それとも他のが良かった？何がいいのか教えてくれたら、僕、頑張るんだけど。｣
｢そーゆー事じゃなくて、わ、たしっ。普通に生きてたいだけなので、こーゆーのも困るし、責任とか言われても、｣
風楽｢困るよね、知ってる。でも、ほんの少しのお礼だからさ。受け取って欲しいんだけど、｣
｢うぇえ…………、いやぁ……………、｣
風楽｢んはは、Aちゃんマジで面白い。他の子とかだとさ、めっちゃ食いつくのに、変なの。｣
それはもう、あなたのお金やら地位やら目当てなだけでしょ。私、そんなのいらないもの。そう思いつつも、手を重ねられては、ダメ？と甘えるような瞳。煌めく夜空に吸い込まれそうになりながらも、嫌だと伝える。面白そうに笑ってそうやって子供見たく言葉をこぼしていて、私は錯覚してしまう。もしかしたら、良い人なんじゃないか、って。だからこそ、情に訴えようかなと思いながら、手を伸ばそうとした。触れて、どうにかこうにかこの場から逃げる方法を模索するようにと手を伸ばすも、それは他の誰かに掴まれる。
紫色が揺らぐ。トパーズのような瞳は、冷たいように思えて。
渡会｢あんま、奏斗に触らんで、頼むから。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらの(プロフ) - すごく好きな作品です！更新頑張ってください！ (2月12日 1時) (
レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます！ずっと待ってました！！！ (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…！！ (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2023年11月11日 21時
