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さよならするのが吉でしょう。 ページ32

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耳元からの、騒がしいような声が響く。電子端末から流れているのは、紛れもないような親の言葉で、声である。最近そっちは平気なの?この前のニュース見た?家に戻ってきたら?やっぱりそこはさ、ていう長いような声。それに、心配かけちゃったな、て思っていた。うん、うん、て頷きながらも、車の外で待っているのは奏斗くんで。普通に、いつも通り彼から誘われて、普通にあちこち連れ回されて。親の、心配してる言葉に、胸が痛くなる。親不孝者にはなりたくない。もちろん、大学のことで喧嘩はしたけど、それでもこうやって心配してくれるんだから、ある程度は心配をかけたくない、て思うのだ。うーん、て悩ましくしながら『なにかあったら、ちゃんと言いなね』て言葉に、頷くだけ。切った後に、コンコンと窓をノックすれば、ドアが開く。





風楽「電話、もう大丈夫なの?」

「うん、もう平気。」

風楽「そっか。」

「やっぱり、心配してたの。ほら、最近のさ、女子大学生が行方不明になって、そのあと警察署前に、怪我はあれど置かれてるみたいな。皆、生きてるけどさ、やっぱり怖いんだろうな、て。」

風楽「守るよ。」

「んぇ、」

風楽「僕が命に変えてでも、Aちゃんを守るよ。」

「はは、何それ。」





やだな、そーゆーの。
命をかけてでも、とか、そーゆーの重たいな。ぼんやりと、そんなことを考えながらも、私の手を握っては、車から出してくれる奏斗くん。それにエスコートされるような、それを感じながらも、普通に立ち上がって。奏斗くんは、優しい。それを感じながらも、きっとさよならする方がお互いのため、なんだろう。よくあるようなおみくじの結果なんて、吉と出るんだろうな、て思う。そんなことを考えて、あーぁ、てなる。そんな事ばっか考えちゃって、奏斗くんのことなんか分かんないし。気持ち的には、多分このままが良いと思うんだけど、それってなんだか好きみたいで、嫌ですし。




ふん、て思いながらも「ありがとね。」て言うと彼は笑って「どういたしまして。」て言うから、それになんかどうしようも無くなる。少しきゅん、てなんかなぁ、てなる。奏斗くんの優しさとか、その柔らかな微笑みとか、嫌いなわけじゃない。それにときめきながらも、これは普通ではない、て分かってるから。それに、なんかやだな、て思いつつ、私は知らない顔をしていた。ほんとに、なんかもうやだって思っちゃう。

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そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時

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