違う世界、境界線の向こう側。 ページ25
.
「渡会さん、」
渡会「喋ると舌噛むから、喋らんで。」
「でも、ちが、渡会さん!!」
渡会「喋るなって言ってんだよね、俺。それに、君が気にしたとこでなんとかなるわけ?なんもならんでしょ。だって君と俺たちとじゃ、世界なんて違うんだから。」
「っっ、いつもあんなこと起きるんですか、」
渡会「たまにね。ココ最近奏斗の警戒心が緩みすぎてたから、なとこあるけどさ。少なくとも、その理由が君なのはわかって欲しい。ん、着いたよ。ここで大丈夫そ?」
「あ、はい。大丈夫です、すいません。ありがとうございます、」
渡会「結局は本人が決めることだと思うけど、一応言うんだけどさ。俺たちの住む世界と、君の住む世界の違い、ちゃんと考えてね。それじゃ、ばいばい、」
揺れるような車の中、運転席に座る渡会さんの声は、酷く冷たかった。まるで、切り離されるように。突きつけるような現実が、私の心の臓を貫くナイフのようにと、鋭かった。どくどくと血が流れるのを感じながら、生きているんだと実感するほどに。視界が、揺らぐ。気にしたってなんにもで出来ないくせに、という言葉が、凄く鋭くて。確かにそうだ、無力だ。なんにも出来ない、何もしてあげれない。そんなの、分かりきっていた。家近くのコンビニについては、車から降りる。ありがとうございます、てお礼をちゃんと言った後に、窓を開けていた渡会さん。真っ直ぐなトパーズが、私を見つめていた。それから、目をそらす事がどうにも出来なくて。ぐぅっ、と喉を鳴らしながら、何も言い返せないのも本当の話である。
きっと、敷かれていた境界線は酷く曖昧になっていた。多分、道路とかでの掠れてしまった白線のようにと。それを知らないフリして、飛び越えようとして、飛び越えれなくて。少しだけ傷つくのは、なんでか分からなかった。泣きそうな感覚になりながらも、マンションへと足を進めては、部屋へと帰る。鍵を差し込んで、開けて、中に入って。靴を脱ぎ捨てては、ベッドに倒れ込んだ。ぼふっ、てしたのを感じ取りつつ、少し考えてしまうのだ。分かっていたはず、わかってる振りをしていたのかもしれない。聞き分けのいい、いい子の振りをしているつもりなんて無かったんだけどな。ぼんやりとした思考回路を滲ませていた。
「風呂入って、寝よう。」
立ち上がって風呂場へも行く。頬にかすれた様に付いている血を、見つめていた。
1130人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時