案外君も普通なんだね。 ページ20
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私は、奏斗くんを異世界の人間なんだと思ってた。
や、そんなファンタジーなものではなくて、単純に、住む世界も何もかもが違う人なんだと。雰囲気も、何もかも、全部。それを感じながらも、きっと私は気にすることなく、隣にいたんだと思う。これは別に好きとか恋とかそういった物ではなくて、あの日みた、あまりにも寂しそうな夜空がどうにも放っておけなくて。よくある女性の母性本能ってやつなのかも、いや、分からないけど。でも、気にしない振りが変わらずに出来ずにいた。私は、自分のその性格を何度も悔やんだし、お節介さに涙を流していた。気になるんだもの、第三者という立場になりたくなくて。後悔したくなくて。たられば、がある終わり方なんて嫌だから。
「普通の人間みたい。」
風楽「え、僕のこと人間だと思ってなかったってこと?」
「いいや、違うけど。」
風楽「なに?なんなの?教えて、」
「案外、マフィアだのなんだの言ってるけど、普通なんだなぁと思って。」
風楽「…………普通、かぁ。そうなら、いいな。」
「じゃあね、またね、奏斗くん。」
風楽「Aちゃんは、またね、っていうタイプか。」
「奏斗くんはなんて言うタイプなの?」
風楽「場合にもよるけどさ、さよなら、が多いな。また、が無いから。終わりって意味で。」
嗚呼、ほら、見間違いなんかじゃなかった。
君の瞳が、また寂しそうな色を宿しているの。まるで都会では見れない星空のように、もの寂しさを語っている気がした。普通について言うから、私は案外君も普通だよ、と言うと少し困ったように言うけれど。部屋の前までたどり着いて、またね、て言うとバイバイの仕方について君はまた言う。さよなら、が多いって言葉を聞いて、私はなんて返せばいいのか、分からなかった。またね、て言ってというのも違うし、それなら、さよならも違くて。だから、なんて言うべきなのか、分からずにいたから。ぎゅうって、胸を締め付けられる。
なんでそんな悲しそうな顔をするんだろう。なんでそんなに、寂しそうな目をするんだろう。そう問いかけたって、どうせ奏斗くんは誤魔化して、はぐらかす。自分のことを話そうとしてくれないから、なんだか信用されてないんだろうな、ってことだけは分かっていたから。何も言わない、何も言えずにいるのは、きっと互いの隙間にある、境界線が強く敷かれていたからだと思う。
そんなんじゃないっての。→←月に照らされたあなたが眩しくて。
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そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時