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ちっちゃくて、軽くて、それでいて。 ページ14

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風楽 side





僕の隣に座って、ケーキが入った箱を抱きしめながら、スヤスヤと寝ているのは、前に僕を手当してくれたAちゃんだった。甘いものを沢山食べたから、眠くなっちゃったのか、車に乗って少し揺られただけで寝てしまっていた。僕の肩に頭を預けながら、スヤスヤと寝るものだから、少しは危機感ぐらい持ちな〜?と思う。信頼されているのか、警戒心がないのか、そんなの定かでは無いのだけど。君が寝ているから、僕はほんの少しだけ君に触れたく思って。汚れてしまったこの両手で、君に触れてしまえば、きっと汚れを移してしまうかもしれないし、君を汚してしまうかもしれないな、と思う。小さな手の甲を撫でる。指先で、つっーーーっと、撫でても何も反応しなくて。指を絡めて、手を握る。




きっと僕らの世界じゃ、こんな事さえも許されないって、分かっているのに。




僕が買ってあげたロエベの50万のバッグなんて持ってこないし、嫌そうな顔だってするし。けど、ケーキを食べている時は嬉しそうな顔をするし、食べないと勿体ない!なんて言いながらおすそ分けしようとしてくる子。堪らなく、愛おしくなる。普通の子、って勝手に割り切って、世界が違うんだと脳は言うけれど、この愛おしさはやはり本物だ。多分、小突いたら転んじゃうし、銃なんて向けられたら震えちゃうような子で。嗚呼、守りたいなって思える。彼女の住むマンション近くのコンビニに着いたらしく、「起きな?ついたよ〜?」と身体を揺らしてみれば、ぐりぐりっと僕の肩におでこを押し付けるものだから、可愛くって。「この子のこと、部屋まで送ってくる。」と声をかけてから、抱き上げた。




ちっちゃくて、軽くて、それでいて。少し歩いて、彼女の部屋の前まで着いたのなら、眠そうな顔で顔を上げるAちゃん。





風楽「鍵どこ?」

「ばっぐ、」

風楽「探させてもらうね。」

「ん、」

風楽「お眠かぁ。」

「んぅ〜…………。」





ぱちぱち、と瞬きをしながらも、寝起きのような声で、バッグという言葉。勝手に探れば見つけ出された鍵。鍵穴に差し込んでは、ガチャっと開けてしまう。一人暮らしにしては、大きくて、2人だとかになれば狭いようにも思える部屋。靴を脱ぎ、脱がせて部屋へと入り込みベッドに寝かせた。ぎしっ、とスプリング音を鳴らしながら、手を伸ばして頬を撫であげる。そんな無防備な姿、僕以外に晒さないで、許せ無くなっちゃうから。眠り姫は、目覚めない。

どうかヨダレを垂らしながら寝てませんように。→←胸焼け注意報。



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そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時

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