私の日常が壊れる音がした。 ページ12
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もし、音で例えるなら、ガラガラガラと崩れる音だろうか。
なんでそのことをいきなり話したの?と思われるかもしれないが、少なくとも私の日常が壊れる音がした。大学の講義を受けて、密ちゃんとご飯食べて。帰り何するー?て話をしながら、授業を終えて。サークルにも入ってないし、バイトもお休みだから特に気にすることも無く、ショッピングでもしよ!と話していた時だった。大学の正門に、見慣れてはいないけれど見覚えのある黄色。それに、心臓がぎゅっとした。潰れた感覚になりながらも、スマホを触っているらしく、気づいていないと思ったのに、振り返り目が合う。今は全然日中だというのに、彼の瞳はどうにも煌めいていて。
なんだか、昨日見た寂しさとやらが消えている気がしたんだ。錯覚かもしれない、もしかしたら間違えかもしれない。知らないふりをしようとしても、あなたは私を逃がそうともしないから、どうしようも無い気持ちばかり抱くの。どうにも、甘い気がした。私を呼ぶ声が、どうにも、そう感じていたから。
風楽「Aちゃん、っと、あれ、もしかして用事あった?」
「や、ショッピングしよーて話はしてました。」
風楽「あーほんと?ほら、この近くにさ、出来たスイーツ屋さんっていうのかな?カフェにでも行かないか、ってお誘いしようと思って。」
密「えーー、いいじゃん行ってきなよ。私とのショッピングなんていつでも行けるしさ。A、行きたいって言ってたし!じゃ!!私は帰るわ!ばいちゃ!」
「え、ぁ、密ちゃん!?」
風楽「どうかな。僕とカフェ、行かない?」
この手を握ってはいけないと、本能が言う。
甘やかに笑いながら、最近できたカフェにでも行かないか、という誘い。それを聞いて、何かを勘違いしたのか、行きなよ!という友達。いや、まって、この人はマフィアでね、と説明するよりも前に、隣から去る密ちゃん。えぇ、としていたのなら、覗き込むようにとこちらを見つめる風楽さん。瞳の揺らぐ、煌めき。月には触れてはいけないのに、小さな幼心が擽られるようにと、私は手を伸ばしてしまうのだろう。手が、重なる。彼の手に、手のひらを乗っけてしまった。
弱いとかじゃなくて、何故か彼に見つめられてしまうと、逃げられなくなる。それが何を意味しているのかも、何でなのかも私には分からずにいた。それが、どうしようもないぐらいに悔しいとさえ、思ってしまう。馬鹿な話だと思うけれど。
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そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時