不覚にも、ときめいてしまった。 ページ46
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甲斐田 side
甲斐田「お願いだから、Aちゃん。僕の羽織返してぇえぇ〜〜……………。」
「Aちゃん、これほし〜の。だめぇ?はる、」
甲斐田「うん、だめ。」
「なんでぇ?」
甲斐田「僕のだから。」
不破「あげたらええやん。」
甲斐田「簡単に言わないでくれます!?」
「だめぇ……………??」
甲斐田「っっっ、ダメなものはダメです!!」
どうしてこうも、幼子が甘えてしまうと、大人は子供の味方になるのだろうか。僕はいつまでもそれを理解出来ないし、狡いとさえ思うほど。僕の羽織を掴みながら、欲しい!と言われている。嫌だけど、僕のなんだけど。なんならいうと甲斐田家のちゃんとしたやつだし、術が掛けられてるやつなんですけども。ぎゅうっ、と握っている手が、ほんの少し赤くなっているのを見た。対魔の術式だからか、吸血鬼であるAちゃんにも、効いているのは分かっていた。だから、ダメだと言っている。不破さんにあげれば?とか言われたけど、簡単に言うよなこの人、と思ってしまった。そんな簡単にあげれない理由は、術式なのもあるし、家系の物なのもあるし、これないと僕、戦闘の時に死ぬかもなんだけど。
そりゃ僕は、研究者ですからね。前線は長尾が得意だし、中距離のサポートは弦月だし。いや、戦えないわけじゃないけど!という言い訳を、心の中で零していた。手を離すようにと促しても、やだ!と首を振る。やだじゃないよ、て思いつつ、引っ張っては無理矢理にでも奪い返す。べしゃ、と床に転んだのを見ては「あ、」と声を漏らした。うるうる、とした瞳を浮かべては、泣き出すAちゃん。あちゃ〜………、とやらかしたことを考えつつ、羽織の術式を解いた。そのあとに、頭の上から羽織を被せる。不破さんたちからの視線がめちゃくちゃ痛いけど、そうでもしないとこの子が火傷とかしちゃうわけだし。
甲斐田「わかったってばぁ。収録終わるまで、羽織ってていいよ。」
「ほんと?」
甲斐田「術式解いたから、手みたく赤くなんないし、痛くもないと思うし。」
「んぇ、あ、ほんとーだぁ。はる、あいがとー!んふ、かおよせて!」
甲斐田「なぁに。」
「おれい!」
しゃがんで、目線を合わせて。もう、てしたあとに、顔を寄せてあげれば、頬にちゅっ、とされる。この子供、確信犯すぎる、あまりにも。不覚にも、ときめいてしまった。そんな僕がほんとに、バカみたいだ。
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あめ - めっちゃこのお話好きです…!!更新待ってます!! (2月18日 22時) (レス) @page37 id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
(^o^)/(プロフ) - うわうわうわ待ってました大好きです。コメント失礼しました。 (2月7日 0時) (レス) id: b873b0040b (このIDを非表示/違反報告)
poco(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませて頂いております!釈迦さんとの絡み最高でした!是非、他にも釈迦さんや釈迦さんのお子様との絡み等々投稿して頂けると泣いて喜びます(笑)応援しています! (2月6日 17時) (レス) id: 7086e430c4 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 初めまして、作品楽しく読ませて頂いております! 本編読む前に説明にある「わかった、オレが令和のドラえもんになる、待ってろ。」が好きすぎてそこから進めないことが多いですそれだけですありがとうございました!! ご自愛くださいー!(?) (10月24日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
なるみや(プロフ) - とてもすきですかわいい (10月24日 2時) (レス) @page9 id: 7e54cbffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年10月22日 0時