我儘プリンセスに寵愛を。[ 終 ]

行方知れずの姫君。 ページ32

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案件でのスタジオ配信で、楽屋で待ってるように、って言って。いつもなら誰かに見ててくれ、て頼むけど、誰も手が空いてないから、出ないだろと思ってたオレが馬鹿だった。案件配信終わって、少し喋ってて、やべそろそろ行かねぇとあいつ泣くな、て思いながら楽屋へと行けば、そこには誰もいなかった。小さなお姫様にとって、この部屋はあまりにも窮屈だったのだろうか。息苦しさを感じてしまうほどの鳥籠だったのか。ぞわり、背中を走る嫌な予感。頭の中が真っ白になるのを感じていた。廊下に出て、右と左を見ても、あの銀色はどこにもない。近くのスタッフさんに｢すいません、ちっちゃな子供、こんな感じのやつ見ませんでした？｣て聞いても、誰も見てない、って言うから。




どくどく、と心臓が動くのを感じる。行方知れずの姫、どこに行ったか分からないまま。やはり、スマホを持たせるべきだった。なんでこーゆーときに持たせておかないんだ、て酷く自分を恨めしく思う。はっはっ、と呼吸を荒くしつつ、息を吸い込んで匂いで辿ろうとしても、もうそこに残り香は無いのだろう。酷く薄い匂いに、どこかも分からない。ぐるぐるとしたような思考回路に吐きそうになる。焦ってるってバレないように、てしながらも、バッグもないから本当にダメであることを分かってしまう。くそ、なんで、お前はいつも飛び出すんだよ。





｢まじで、ほんとに。｣

｢どこ行った、あのクソガキ。｣

｢まじ見つけたら許さねぇからな。｣

｢ほんとに、｣

｢やっべ、｣

｢がちで、泣きそうなんだけど……………。｣





自由すぎんだろ、て思いながら、くしゃりと髪を握って、どうしようとしてしまう。それほどまでに、今はなんの余裕もない。案件も終わったからこの後帰るだけだから、何も気にしなくたっていいんだけどさ。ちっこくて、すぐどっかいって、ふらっと消えてしまうから困るんだよ。手元に置いておきたいのに、ずーっと抱きしめていたいのに。消えてしまいそうな体温が、怖くなる。オレは、ずっと不安なまんまだった。ずっと、ずっと昔から、お前だけは失いたくないって思う。だから頼むから、どこにも行かずに待ってろよ、A。2位様が絶対に迎えに行ってやるから、だから、頼むから、そこに居てくれ。





葛葉｢外、探しに行ってみるか。｣

お姫様が二人。→←兄様はそんなの許しません！！！

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