だるまとおに。 ページ23
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No side
大きな世界に取り残された迷い子は、果たしてどうなるのか。
先程買ってもらった鞄をぎゅうっと握りながら、困ったような顔をしつつ見上げていた。思わず端により、行き交う人々を見上げるだけである。この小さな幼子は全身を只今ブランド品で身を包んでいる。ちらちらとこちらを見る人もいれば、明らかなる怪しさを醸し出す人も存在する。吸血鬼という存在ではあるものの、まだ幼子である。ふるふると小さな体を震わせて、一生懸命見上げても、兄とその友人たちの姿は見えない。背伸びをしても、飛び跳ねてみても、あの白も銀と紫も、赤色もどこにも見えずにいた。くしゃり、ティッシュを丸めたようにと、眉を顰めては、泣きそうな顔を見せてしまう。小さな手で懸命に拭いつつも、大きな瞳に涙を溜めていた。
「にぃさまっ、」
「み……なとぉ………っ。」
「ろぉ、れっ、」
「いぶぅ…………っ!」
「Aっ、ひとり、やだよぉ。どこぉ、ど、こなの………ぉ?おいて、かないでぇ…………。ひ、ぐすっ、………にぃさま、」
「ここにいるってぇ、そばにっ、いるってぇ!いったじゃん…………!!」
ポロポロと涙を流しながら、掠れるような声で名を呼ぶ。
立ち止まる人々は多くいるも、やはりブランド品を身につけているから、迂闊に手出しが出来ないと言ったところだろう。こんなにも愛くるしくも、胸が痛むようにと泣いてる姿はやはり、目に止まるものだ。それに例外はやはり存在しないようにと。だからこそ、足を止めるものも必ずいる。揺れるような赤いパーカーに、頭に飾られたお面も言わずもがな。だるま柄がプリントされたパーカーをゆらゆらと揺らしながら、小さな子供の目の前へと行く男と、そんな男に視線を向け、追いかけるようにと視線を彼女に向ける男。手を伸ばして、軽やかに少女の頭を撫でる。
この世界に取り残された小さな子供は、確かに見上げていた。泣きやもうと必死になりつつも、うるうると真っ赤な瞳をうるませては、縋るように助けを求めるようにと。手を伸ばせばその手を握るようにと、救おうとするのだから。はたり、足を止めていたほかの人々も、誰かが彼女に声をかけたのを見て、悩むのをやめ、足を進めていた。人間とは無情なのかもしれない。他の誰かが、といった思いを抱きつつも、変わらぬ日常へと溶け込んでいくのを、少女は見上げていた。
「オレがこの子育てる!!ちゃんと育てるから!!」→←迷子のお知らせ。
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あめ - めっちゃこのお話好きです…!!更新待ってます!! (2月18日 22時) (レス) @page37 id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
(^o^)/(プロフ) - うわうわうわ待ってました大好きです。コメント失礼しました。 (2月7日 0時) (レス) id: b873b0040b (このIDを非表示/違反報告)
poco(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませて頂いております!釈迦さんとの絡み最高でした!是非、他にも釈迦さんや釈迦さんのお子様との絡み等々投稿して頂けると泣いて喜びます(笑)応援しています! (2月6日 17時) (レス) id: 7086e430c4 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 初めまして、作品楽しく読ませて頂いております! 本編読む前に説明にある「わかった、オレが令和のドラえもんになる、待ってろ。」が好きすぎてそこから進めないことが多いですそれだけですありがとうございました!! ご自愛くださいー!(?) (10月24日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
なるみや(プロフ) - とてもすきですかわいい (10月24日 2時) (レス) @page9 id: 7e54cbffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年10月22日 0時