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私、多分、きっと。 ページ40

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A side








気付かないふりをしていました。
だって、私と彼では世界が違うから。






改札を通り抜けたあと、

彼の後ろ姿を見つめるだけだった。





かっこいいな、かわいいな、素敵だな。
私とは違う人だなって思うけど、





でも、いいなって、思ってしまった。







冬の寒さが身に染みてしまって、

さっきまで繋がれていた手の温もりを求めそうになる。









ジミンさんの手、暖かかったな。
小指、ちっちゃかった、可愛かった。


でもやっぱり、男の人だから、



私よりもお手て大きかった。









そんなことをぼんやりと考えながら、
スマホに差し込まれているイヤホンを、

耳に着けた。






流れ込んでくるジミンさんの歌声に、

心臓の高鳴りを感じたんだ。








多分きっと、なんかじゃない。



もう既に、誰よりも、
この気持ちに気づいてしまっている。








目の前を通り過ぎる電車に乗り込むこともせずに、

ただ立っていては、その場に蹲ってしまう。








痛い、いたい、すごく痛い、
だってこんなの、好きみたいじゃん。


文通しかしてなくて、性格も何もちゃんと分かってないのに、





好きって、そんなのダメに決まってる。









『好き、なのかなぁ、私。』







ふわり微笑まれたあの笑顔も、
ふと香った彼の匂いも、


今だ鮮明に覚えているから困る。




暖かった、当たり前みたいに心に流れ込んできた。







人を好きになるたび、
似たようなことを感じている気もする。



ただ、





ひたすらに触れられていた手を思い出して、
声が私の鼓膜を刺激していて、






忘れないで!って言われてるみたいで。







困ったな、好きみたいじゃん、ジミンさんのこと。

私が知ってるジミンさんは嘘偽りだったけど、
その嘘に騙されててもいいや、って思ってしまった。




『ジミン、さん。』








声なんてもう聞こえないのに、
もうここにはいないのに、




笑顔で、かわいらしい笑みで、

耳のキラキラを揺らしながら。







JM【 Aさん 。】







私の名前を呼ぶ彼を思い出してしまった。






ちゃんと立ち上がって、辿り着いた電車に乗り込む。
これは、きっと私は、多分、絶対的に、



紙の向こう側の人に恋をしてしまったのだ。





こんなにも好きだなんて有り得ない。








だって、泣きたくなるほどに、
またあなたに会いたいと思ってしまうから。

生きる世界が違うのに。→←素敵な一日を。



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miz(プロフ) - もう、めちゃくちゃ良かったです!楽しみながら読むことが出来ました!! (2022年2月28日 1時) (レス) @page50 id: 6ed4b49dda (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジミンちゃんとの文通ときめきました/// ステキなお話ありがとうございます! (2022年1月3日 3時) (レス) @page50 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
MA SAKA(プロフ) - お話素敵すぎます!続きを楽しみにしてます! (2021年11月29日 10時) (レス) @page41 id: d6bf311559 (このIDを非表示/違反報告)
Dtpnjtwtvmt(プロフ) - もう一言ですき!!!!! (2021年10月8日 14時) (レス) @page39 id: e5b6025cac (このIDを非表示/違反報告)
hkh(プロフ) - 楽しみに読ませていただいています。言葉の雰囲気がとても好きで、何度も読み返しています!これからもご無理のないペースで、素敵な言葉を覗かせていただけたら嬉しいです。 (2021年5月9日 19時) (レス) id: f9da484c95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2021年4月9日 11時

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