case 20 ／ 捨てたはずの恋心。 ページ10
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イブラヒム side
ゴミ箱に捨てたはずだった。
右クリックをして、削除のボタンや、デリートボタンを押したはずなのに、どうしてまだ存在しているのだろうか。そんなことをぼんやりと考えながらも、訳わかんねぇーてソファーに倒れ込む。人なんていないような、旧館の三階の空き教室。KEEP_OUTのテープが巻かれたようにと、閉じ込められていた想いが、まるで忘れないで！と叫んでいたのだろうか。そんなことを考えながらも、馬鹿だと笑ってしまう。金属音が擦れ合うような耳元のピアスが、揺れ動く。ちゃりっ、と鳴り響くような音を聞きながら、ぽつんっと1人なのを感じながら、見下ろしたのは何か。捨てたはずだった、捨てたと思っていた。でもこれは恋心なんかじゃないけれど、こちらに柔らかな笑みを浮かべ、明るいような声のトーンはきっと、本物だったのだろう。そんぐらい、分かるっての。
でも、お前は違うって言うんだろ？それは紛いものだと、ツギハギだらけの恋心なんだと、否定をする俺もそう思うし、そうだとしか思えない。それでも、心の隅っこに居座るそれは、恋だったんだと思う。くしゃり、握り潰したのはきっと恋心であってほしいと願いながらも、そんなんじゃなかった。信じたいと思うことも、こうであってほしいと願うことも、きっとそれはら夢や理想なだけであって、現実なんかではない。ボロボロになったはずの思い出を、大切にするようにと、寄せ集めては抱きしめる俺たちは、お前はきっと笑うことも無く、けど肯定することもなく、馬鹿だと吐き出すくせに。
イブラヒム｢来るとか珍しーね、｣
｢授業に出ろ！！｣
イブラヒム｢やだよ。｣
｢テストってあと数回しかなくてさ。それを1回でも受けてくれたら、私ってもうさよならバイバイなんよ。｣
イブラヒム｢いーじゃん、俺らと留年しよ。｣
｢お前らが噛み跡つけた日、親に死ぬほど怒られたんだから。これが何を意味するのか、わかってるのか。｣
イブラヒム｢………お前ってさ、俺らのことかわいそーって目で見るけど。お前も、可哀想な奴だよ。｣
｢お互い様って言いたいの？｣
イブラヒム｢ばーか、違うわ。｣
足音が聞こえた、だから起き上がったのならば、手でホコリを避けながらも、変わらぬ態度で、変わらぬまま、そこに居るそいつ。授業に出ろ、の言葉にやだと言う言葉を漏らしながら、見上げ見下ろしての見つめ合い。お前も、かわいそーだよ、なんて言葉を投げかける。
捨てて、拾って、また捨てて。→←ほんとに、かわいそーだね、お前って。
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あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます！！！！他の作品もぜひぜひ！応援させていただきます！！ (11月18日 19時) (
レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます！毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます！！ (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます！通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします！影ながら応援させていただきます！ (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです！出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2023年9月20日 22時
