ほんとに、かわいそーだね、お前って。 ページ9
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君はかわいそーだよ、とても。
だからさ、さっさと捨ててしまえばいいと言う度に、きっと君らはそんなこと出来ないとか言うんでしょ。それなら初めから言うなよ、という言葉さえも、飲み込んで。どくどくと脈打つ心臓に隠すことも無く、きっと滲ませた色なんてものは、何色かさえも分からないだろう。ぐちゃぐちゃに混ぜ込んだ絵の具のように、黒に近いような色を映し出す。いくら白を足したとて、白に戻ることもないそれを見つめるだけなのだから。混じっても灰色なのだろう。それを見つめて、水で薄めることもなく、そのままぐちゃぐちゃにしたまま、放置しているのだろう。鼻を掠めるタバコの匂いが濃くなる。ぐしゃりと握り潰された箱を見つめながら、それをどうすることも無いようにと、見下ろしていた。
「馬鹿だもの。」
ローレン「んね、俺も思うよ。」
「でも辞めないんでしょ。」
ローレン「たーーぶん、だけどさ。辞めるとか、辞めないとかじゃなくて、俺らは杏梨ちゃんのことを諦めきれないとかでも無くてさ、」
「なに。」
ローレン「自分たちがこうなった言い訳を探してるんだと思う。こうなったのはあの子のせいだから、っていう正当化。」
「そうだね。」
ローレン「…………間違いだってわかってても、それでも、どうにか繋がりを保とうとするのも、馬鹿だって思う?」
「思うよ。」
ローレン「そっか、」
それが、正解かなんて分からないし、興味もない。相も変わらずに、まるでここが俺のスペースですと言うようにと、校舎裏にいるローレンくん。1階で、校舎裏側の窓を開けてはそんな話をしていた。揺蕩う紫煙は空へと登り、消えていくのを見つめるだけだった。きっと天国へ行くまでには消えてしまうソレ。まるで想いかのようにと、届くこともないのだろう。空が、青かった。晴天だった。まるで彼らの気持ちや、私の全てさえ笑うほどの、綺麗な青色をしていた。汚れることも無く、隠すような白のわたあめさえも溶けて消えてしまったようにと。それがどうにも憎たらしく感じながら、吐き出し息は空気に溶けていく。
悲しそうに笑っていうんだ、君たちは。まるで、わかっていても分からないというような、子供のようにと言葉を漏らす。それを聴きながら、正当化の言葉に、やっと気づいたの?と言いたくなる。言わないでいる私の優しさにありがたく思いなさいね。
case 20 / 捨てたはずの恋心。→←case 19 / 哀色に染まった恋心。
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あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時