春待つ私たち、きっと桜の木の下で。 ページ47
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きっと世界の端っこで息をする私たちにとって、季節というものは、感覚を忘れぬためのものなのだろうか。
「叶くん、私のクラスどこ。大丈夫?私3年生になれてる??」
叶「Aちゃん、クラス替えは存在しないよ、2年から3年の場合は。」
「嘘、私葛葉くんたちとクラス別れることを楽しみに進級したんだけどな。」
三枝「俺Aちゃんと3年間同じ、あざっす。」
「最悪だよ、マジで。うるせぇー人しかいないやん。はぁ、こんな事ならやるんじゃなかったな。」
アクシア「そーゆーこと言う?」
「言うよ、私は。どうしようね、エビオくん。あ、エビオくんは寝坊か。」
叶「はいはい、ほら行くよ教室に。」
「はぁーーぁ、こんなことなら関わるんじゃなかったなぁ。」
桜の花びらが、私の全てを埋め尽くす。
一枚、また一枚と散っていくのを見つめながら、きっと手を伸ばしたとて、掴めることも出来ないのだろう。ゆらり、揺らぐような淡い色が、私を焦がす。散って、そのまま死んでいく桜を、私は何度見上げては、愛おしいと思うのだろうか。肩を並べて、ゆらゆらと揺れながら、叶くんに話しかけたのなら、変わらないよ、の言葉に驚いた。くそ、あの4人と距離さえ出来れば全てが終わると思っていたのに。そう考えていた私が甘いらしい。最悪だよ、としつつも、叶くんに腕を引っ張られて、3年の教室へと向かう羽目になる。嫌だな、あの、滲み出されるような好意を毎日浴びるのは。
きっとそれは本能的なものだろう。嫌だな、と思うのは、恋が嫌とかでは無い。その人が嫌とか、蛙化現象とかでもない。単純な、私なんか好きになっちゃって可哀想だな、という気持ちかもしれない。ほんの少しだけ垂らされた桃色に染まりあがった心情はやはりおかしい。恋なんて、脳のバグだと言うのに。それに必死になってばかみたい、と思いつつも、ぎゅうっと叶くんの服裾を握る。首を傾げてこちらを見下ろすのを見て、灰色を滲ませたような、水色が私を瞳に宿していた。
「私、いつか4人の気持ちとか、ちゃんと分かるのかな。」
叶「わかると思うよ。お前は、優しい子だから。」
葛葉「叶はよ、Aも。はよ、」
「おはよー、葛葉くん。あとの3人は?」
葛葉「ローレンはタバコで、ふわっちは女子に捕まり中。イブラヒムは寝坊。」
「イブラヒムくんはやはりそうかぁ。」
葛葉「何わかったように言ってんの。」
「分かるよ、君らのことはね。」
Hey Siri、問題児を改心させる方法を教えて。→←case 25 / あなたの透明色。
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あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時