case 25 / あなたの透明色。 ページ46
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銀色が滲んでも、
紫色と混ざりあっても、
灰色に汚されても、
赤色を溶かしても。
その透明色はいつまでも透明であろう。
ぽつり、人の心情はやはり色であろうか。
憎しみなどの黒や、悲しみの哀か、それとも怒りの赤だとか。そんなものばかり考えて、馬鹿の一つ覚えのように例えて。揺らぐような色に、きっと目を逸らしていたのかもしれない。恋は桃色のようにと、混ざり合えば濁っていく。決して、元に戻ることが出来ぬようにと。ずるずると引きずる様な鞄に、だらりと足らされてセーターの袖。疲れたな、とぼんやりと思いつつ、見上げては、目を細める。あなたが課した無理難題だって、私は気づいたら成し遂げていた。誰もが、無理だと嘲り、下に見ては、バカにした全てはここにあるのだから。
「これで、終わりでいいでしょう?都ちゃん先生。」
『そうね、これで終わり。』
「やっりぃ!はーっ、疲れた。それじゃお疲れ様です、先生。叶くん、終わり!!終わったーー!!!もう私はやらなくて済む!!もうお前らとの関係も終わりだ!!!」
叶「大きな声出さない。テスト、まだ1日残ってるよAちゃん。」
「ぁう、だァってぇ。これで私はもう進級を約束されたものでは?」
『テスト結果も関わってます。』
葛葉「終わりじゃん、もう。」
ローレン「どうするよ、こうしても2年だったら。」
不破「終わりか。」
イブラヒム「金で解決させるしかないのかもしれん。」
「はぁっ、世の中ってあんまりだよな。」
揺らいだような色は、何色だったかも分からない。
鳴り響いたチャイムの音を聞きながら、等しく静かで、平穏だったはずの日々が、どうにも騒がしく感じている。喧しいな、と思いつつ、私の隣を歩くのは何色だろうか。そんなことを知らずに、分からない振りをしつつも、叶くんに怒られてしまう。うぇ、としつつもテストもやはり関連するらしい。おい、それなら私のこの1年ぐらいの頑張りはなんなんだ、としつつも自業自得か、と思った。立ち止まり、前を歩くのを見つめていた。ゆらゆらと揺れ動くのを見つめながらも、きっと私は何も感じることは無いのだろう。
夏前に植えた花は、春には咲くだろうか。それとも、咲くことも出来ずに、死んでいくことだろうか。花が、枯れる瞬間が好きだ。だって、生きていたという証明がされるから。
その透明色は、変わらずに何色にも染まらぬようにと、存在していた。
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あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時