Hey Siri、問題児を改心させる方法を教えて。2 [ 終 ]

逃げだしたくせに。 ページ5

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葛葉｢帰ってくるって知ってたのかよ、｣

｢同じことばっか言う、バカらし。｣

葛葉｢は、｣

｢一度粉々になった恋心をテープで組み合わせて、これは普通なのよ。また好きになってしまったの、って馬鹿みたいだと思うよ。｣

葛葉｢お前なぁ、｣

｢ほんとに、君らってかわいそーだね。一度裏切った女に何を期待してるの？｣

葛葉｢っ、｣





｢君たちがテストを受けるまでのが私の管轄なの。それ以外は勝手にしなよ、私を巻き込むな。｣





何を、期待しているのだろう。
そんなことを思いながら、はぁとため息を吐き出した。滲ませるような恋心を見つめながらも、それはちぐはぐに縫われたようにと、ボロボロで。不格好で、私はそれを馬鹿だと言ってやった。馬鹿だよ、君たちは。過去の出来事にしがみつき、それでいて責任を押し付けている。自分たちがこうなったのはこれが理由です、というような言い訳を探し、彼女を利用しているようなものなのに。どうして、お互い被害者面をするのだろう。完全なる被害者が存在するのだろうか、そこら辺は分からないけど。気付かぬうちに人間は誰もが加害者になるのだから、馬鹿な話だ。赤色の瞳をゆらゆらと揺らしながら、滲ませていた感情の先なんて、興味もなかろう。




しゃがみこみ、目線を合わせる。何色に染まったかもわからぬ瞳を見つめて、ほんとに馬鹿だねと言いたかった。言いたかったけど、可哀想に見えたから言わなかった。手首を掴まれて、壁に押し付けられ、まるで否定するな！と言いたげな顔を見て、なにか言える気にもなれない。なんでそんな悲しそうな顔するの、なんでそんな泣きそうな顔をしているの。そんなの分かるわけないし、分かりたくもない。ぐぐ、と手首に力を入れられて痛くて。痕、つくかなぁとぼんやりとした様な思考回路しか持ち合わせていないから、自分の呑気さに笑ってしまいたかった。言いたいことがあるならいいなよ、というような瞳を向けたとしても、赤色が滲んでいくから。





｢君らって単純だよね。1度死んだ恋心は元には戻らない。ガラスが割れたように、何かを失ったように。全部、元に戻らないんだよ。｣

葛葉｢ちが、｣

｢いくらくっ付けても、縫い合わせても、それは紛い物だよ。全く元通りには戻らないもの。｣

葛葉｢違う！！｣

｢それは、愛を裏返した憎悪に近しいものだよ。｣





愛の反対なんて、大概そんなものでしょう？知らんけど。

case 18 ／ 消せなかった恋心。→←case 17 ／ 憂いを帯びた恋心。

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