人間は変わって生きていく、合わせるようにと。 ページ37
.
人間なんて、存外馬鹿な生き物である。
人に合わせて生きるような馬鹿ばかりなのだから、そりゃこうも馬鹿ばかりになるだろうな、と思ってしまう。人のこと言えないよ、と思われるかもしれないが、まぁ私も馬鹿だしなと言う気持ち。ただその変化は大概が、社会に合わせて生きていくやり方だ。個性を殺し、己を黙らせ、相手に合わせて生きていく。それが、どうにも屍に似ていると思ったのは、いつからだろう。骸を懸命に動かしながら、人間の振りをしている気がした。そうやって考えるのは良くないよ、とぽすり、私の頭を教科書で柔く叩いたのは叶くんだったけれど。
そんなこと考える、私も馬鹿なんだけどね。生きていると錯覚しながらも、きっと懸命に心臓を動かしている私たちは、確かに人間だった。変わらない朝で、彼らの家に行っても誰もいなかった。こんな事があるんだ、と思う気持ちと、見ることは出来ないと思っていたその景色を、私は朝眺めていたのだろう。こんな光景見れないぞ、と思い記念写真までしたんだから。私のフォルダを埋めやがって、というのは完全なる八つ当たりじみたものだ。はぁーぁ、と息を吐き出しながらも、きっと目の前の光景に、喧しいと言いたくなる。
「ごまスティックが美味いのはわかるんだけど、私のなんだよね、イブラヒムくん。」
イブラヒム「これがコンビニで買えるとか、世の中進みすぎじゃね?まじ美味いわ、これ、」
葛葉「なんでいちごオレ買ってこないわけ、お前。」
「お前らの家行ってて、選ぶ時間までは無かったんだよ。言えよ、学校行ってんなら。無駄だったろーが、」
不破「連絡先知らんし、だって。」
「ゴミカス、はぁーー。早起きしなくて済むやん、やっりぃ。」
葛葉「起こしに来てくんね、」
「危ない、死ねって言いかけた。」
イブラヒム「もう言ってんのよ、それ。」
伽藍堂に吐き出した感情を、きっと私は足で蹴飛ばしていることだろうか。そんなことをぼんやりと考えながら、私が買ってきたごまスティックをバリボリと食べるイブラヒムくん。袋を漁る葛葉くんに、相変わらずに呑気にしている不破くん。あと一席が埋まらずにいるのを見つめるのみだった。君はどうせあそこに居るんだろうけど、目線を逸らす。馬鹿だな、ほんとに。どうしたって世の中はそんなものだと私は思う。指先がこつんっ、と当たるけれど、それにときめくこともないのも、変わらない。
人間は皆、不幸者である。→←case 23 / 輝いた銀色。
1635人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時