Hey Siri、問題児を改心させる方法を教えて。2 [ 終 ]

case 23 ／ 輝いた銀色。 ページ36

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イブラヒム side





難しい話とかよく分からんし、そんなものに興味はない。馬鹿な子の方が、守りたいとか、おもしれぇと思うのに、そいつはいつまでも俺の好奇心を、興味を擽る。好きとか、嫌いとかそういった感情なんてものは存在しない、と思ってた。もう捨てたと思ったし、殺したはずのその気持ちは、まるでまた生きているようにと。愛おしいとか、好きとか、そんな感情では無い気がする。たぶんきっともっと、他の気持ち。手元に置いておきたい、隣に置いておきたいという感情はある。ずっとずっと、手元に置いておくだけでいいから、それ以外は望まないから、なんて言うもの。




だってお前が、期待してないって言ったんだから。だから、期待しないで俺のこと見ないで、でもずっと俺の事で悩んでてよ。




そんな感情を抱いてしまった俺の負けなんだろうな、って思う。馬鹿みたいな男の、勝手なる恋なのかもしれない。裏切られた、と感じて馬鹿みたいにパチンコばっか言っちゃって。お前と、杏梨の違いがあるとするのなら、お前は叱ることもせずにただ眺めて、見つめるようなやつだった。まるで、人の人生を映画館で鑑賞しているようなやつだと思った。なんの面白みもないのを見て、勝手に解釈して、きっとレビューなんか一切書かないくせに、ベラベラと感想を語り、ズケズケと人の心に踏み込むやつなんだと。夕焼けに照らされたのを見て、煌めいていくのを感じる。





イブラヒム｢救おうとなんかせずに、助けようとなんかせずに、ただひたすらに変わらないお前が、俺は羨ましいって思う。｣

｢あっそ、｣

イブラヒム｢お前は決して、抱きしめてくれるようなやつでもないしさ。｣

｢そうね、｣

イブラヒム｢なんなら言うと、俺らの欲しいってする言葉さえも与えてくれねぇーし。｣

｢嫌だもの。｣

イブラヒム｢多分、俺。お前のそーゆーとこが、Aのそんなとこが、多分気に入ってる。｣

｢ふーん。｣





恋色の話をしたとて、そいつは変わることはなかった。
だからなに？と言いたげな顔をして、俺を見つめる。揺らぐような感情の先っぽで、きっと息をすることさえも、辞めてしまったのだろう。不思議と心臓が不規則に動かないのは、お前の隣が心地いいのと、息がしやすいからなんだと思う。高鳴るすべてが恋ではないように、好きだという感情がそうではないように。お前が、そう言ったんだよ、ばか。

人間は変わって生きていく、合わせるようにと。→←最初から、君らに期待なんかしてないよ。

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