Hey Siri、問題児を改心させる方法を教えて。2 [ 終 ]

終わりの先なんて存在しません。 ページ34

.





物語や、人の人生に始まりがあるというのなら、終わりだって存在する。それなら、その先は？ifルートとか、後日談とか、アナザーストーリーだとかあるけれど、終わったその先なんてものは存在するのだろうか。ここで完結！終幕！と言われた後に、あの時のサブストーリーだとかを出される度に、巫山戯るなと私は吐き出すような人である。やっと終わりを告げたのに、その先の人生がまだあるのか、とさえ思う。だからこそ、映画とか物語とか、あまり好きじゃない。別に嫌いなんかではなくて、好まないだけ。それを勝手に変換しないで欲しいと、私は思う。好きじゃないと、嫌いは違うものなのよ。





｢エンドロールのあとに流れる、少しの後日談とか好きじゃない。｣

イブラヒム｢出た、難しい話。｣

｢私、1回も難しい話したことないよ。｣

イブラヒム｢いつもムズい話しかしとらんよ、お前。｣

｢そう感じてるだけでしょ。イブラヒムくんと私とじゃ、考え方も捉え方も違うってだけ。｣

イブラヒム｢そーゆーもん？｣

｢そーゆーもの。｣

イブラヒム｢で、なんで嫌いなん？｣

｢好きじゃないだけ。嫌いとは言ってない。ただ、そのために長いエンドロールやスタッフロールを見るのが面倒。けど、DVDや配信アプリでは見せてくれない、映画だけの特権。ね、不平等、｣





夕焼けになるの、銀色の髪を揺らし水面を揺らすような瞳を向け、私の隣を歩くイブラヒムくん。ココ最近毎日のように、帰ろうと誘われる。全くと言ってもいいほどに、彼は授業には出てくれやしないが。まるで、私が出てくるのを待つようにと、正門で従順な犬のように、そこで待っている。それを見る度に、馬鹿な男だと私は思うのだ。いい子にしていたとて、結局推しと出会えなければ意味が無いのに、いい子の振りをするオタクたちを見る度に、いい子すぎると思うのだから。少しの狡さえもきっと悪いことだと言うけれど、その狡をした人間が幸せになっているのだから、少しばかり人間は欲に素直に生きてもいいと、私は思う。




ゆらゆらと揺らぐ影。それを見つめながらも、見下ろしながらも、この身長差が変わることもないだろうに。片手にはアイスで、もうすぐ寒くなると言うのに、これに焦がれる人間はやはり、馬鹿な生き物だと言えよう。面倒くさいと言いたげな顔をするイブラヒムくんを見上げる。難しいとか言われるけど、私の考えを話してるだけなんだけど、と思いつつ、アイスを齧った。

最初から、君らに期待なんかしてないよ。→←何も変わらないあなたも普通であるように。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す