女関係ってめんどくさいでしょうに。 ページ24
.
不破「おれね、今、頑張っとるんよ。」
きっと、柔らかな声だったと思う。耳の中を通り過ぎるような、声だと思った。けどどうにも弱々しく感じて、まるですぐに消えてしまいそうだった。夕焼けに照らされた保健室で、ベッドに座りながら、こちらを見つめる不破くんを、私は見つめるだけだった。まるで、頑張っているんだと言うように。何を、と問いかけた方が良いのだろうか。それとも、踏み込まずにいた方がいいのだろうか。まるで、映画の最後のように思えた。映画なんて好きじゃないし、90分間拘束されている気分だから、好きでは無い。よくある泣ける映画とか、恋愛とかも、いいとは思うけどそれは結局、何が言いたいの?となってしまうから、向いていないのだろう。それでも、最後に謎を残すようにと、そんな風に思えた。
女関係でも整理しているのだろうか。
めんどくさい。
一々振っていたら、嫌なこともあるだろうに。
嗚呼、それとも。
「君なりのケジメ、なんだ?」
不破「んは、せーかい。」
「なんでそうしたの。」
不破「………なんでやろね、でも、ただ。葛葉が、全部吹っ切れて、前に進んだのを見た時に、いいな、って思った。」
「羨ましかったの?」
不破「まぁ、そんなこと。俺も、堂々とさ、Aちゃんたちの隣に行きたいなぁて思ったんよ。おかしいかな、」
「私は別にいいとは思うよ。」
不破「んはは、ほんま?なら、良かった。」
にこやかに笑っていた。
目を細めて、猫のようにと気まぐれのような、そんな彼を見つめる。そんなたくさんの女関係とか、面倒くさそう。手に持っている、冷やすやつを見下ろして、夕焼けに照らされていて分からないけど、きっとはたかれたのだろう。そんなのただの予測でしかないでしかないが、きっとそうなのだろう。大変なんだね、と思いながらも、私はきっとそれ以上は言わなかったし、言えなかったし、言いたくなかった。勝手に彼がそうしているだけだもの。というか、そんなの無関係だから、さっさと来て欲しいとこだけどね。ぼんやりと考えながらも、きっとそれは彼なりのケジメなのだから。だから、私がとやかく言うこともないのだろう。
入口で柱に寄りかかっていたのをやめて、体を起こす。さて、帰ろうと思いながら、保健室を後にする前に不破くんの声が響いた。「Aちゃん、ありがと。」の言葉に、何だか、分からなくなって、聞こえなかった振りをして、その場を後にしたの。
その痛みをどうか、忘れないでいて。→←やめてください!私はまだピュアなんです!!
1636人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時