Hey Siri、問題児を改心させる方法を教えて。2 [ 終 ]

ぶん殴って、愛。 ページ18

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手のひらに、熱を帯びていた。
ジンジンとした痛みを感じていた。
胸ぐらを掴みながら、彼を見下ろしていた。
ふざけるなと、叫びたかった。




なんなんだよ、と吐き出そうとながらも、ぐぅっと喉に留めながら、零れたのは何か。果たしてそれは声だったのだろうか。かつて人魚姫が失った声だったのだろうか。ぼんやりとしたような思考回路。童話とかで唯一好きだったのは人魚姫だった。それ以外の姫様たちは、王子様が来るのを待っていて、迎えになんて行こうとしないから。別に、嫌いだったわけじゃない。でも、違うと思ってしまったんだ。守られるだけの女の子になった覚えは無いし、誰かに助けてもらうだけの人生なんてクソ喰らえと思うほど。見開いた赤色を見つめる。深紅の林檎のように、まるで太陽のように、それとも血のような赤が、私を見つめていた。ずっと前からムカついていたんだと思う、ほんとに。




何度だって言ってやるわよ。過去に囚われたあんたたちは馬鹿だと。もう既に終わったことでしょう？と言えど、君たちは変わらない。どこかしら期待して、なにか可能性がないかと手を伸ばし、それさえも掴めずに落ちていく。それを、私は見つめるだけだった。なぜなら興味もなかったから。どうでもよかったから。彼らは特別なんかじゃない、私も坂城さんも。転んだのなら血が出るし、殴られたのなら跡になる。彼の頬が瞳のように赤く染っているのを見つめながら、それを作り出したのは私だと言うのは明白だった。もう、めんどくさい、面倒なんだよと吐き出しくなりながら、私はずっと、ずっとムカついていたんだ。





｢私、優しくなんてないし、気遣うことも、考えることも察してあげることも出来ない。｣

葛葉｢は、｣

｢けどね！一度頼まれたことはちゃんとやる女なの。なに、私のためって言いたいの？ふざけんな、コノヤロー！！！｣

葛葉｢お前のためなんかじゃ、｣

｢うるさい！！！！中途半端な優しさばっか、なんなのよ！サイテーなやつのまんまで居てよ、そしたらもっと割り切れた！助ける意味もないって！思えた！！｣

葛葉｢オレは、オレらはサイテーなやつだろーが。｣

｢サイテーなやつは、とことん傷つけてくるでしょうよ。｣





血が滲んでいる手のひらを見つめていた。
彼の後ろに倒れている男たちが視界に入り込む。君が、もっとサイテーなら、私はもっと君たちを救えないと思えたのに、やめてよ、ふざけんなよって思うしかないんだ。

case 21 ／ 焦がれる灰色。→←それは誰のためですか。

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