捨てて、拾って、また捨てて。 ページ11
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「あれか、君たちって未練タラタラなタイプ?」
イブラヒム「いんや?むしろどうでも良くなるタイプ。」
「え、じゃあなんであの子だけはそうなの?怖、」
イブラヒム「さぁね。」
「意味わかんねぇーって、まじで授業出ろって。それかテスト受けてよ。そしたらもう関わらんから、」
イブラヒム「俺にメリットなくない?」
「メリットしかねぇーだろ、普通に考えても。何言ってんだお前、船降りろ。」
イブラヒム「やば、」
捨てたはずだと君らは言うが、それを拾いあげて、捨てた振りをしていただけのくせに、と私は言おうとした。
言わなかっただけ、マシだと思ってよな。そんなことを思いながら、イブラヒムくんの隣に座りながら、そんなダラダラとしたような話をする。愛が重たいというのか、中々の重症さを比べたのならば、イブラヒムくんはわりと割り切って入ると思う。よくある同窓会で再会した時に、ワンチャンあるかな?みたいなそーゆー軽い気持ちなのだろうか。そこら辺は興味もないし、どうでもいいのだけど。はぁーっとため息を吐き出しては、頭を抱えてしまう。こいつらがこうも最初に戻るとは思わなかったな。やはり坂城杏梨は誤算だった、と言うべきだろうか。そんなことを悩ましく思っていれば、手を伸ばされる。
髪の毛を退かされて、項や首筋の噛み跡がないかの確認をされるが、だいぶ治っている。だからもう、その首枷のようなものは存在していない。あと少しで治りそうな喉元と、ズレたとこの噛み跡はまだあるけれど、これもそろそろ治ることだろう。この痛みを忘れることはないにしても、憎たらしいとやはり感じる。手の甲で頬を撫でられては、こちらを見つめるイブラヒムくん。なに、と言おうとする前に「お前って、変わらんね。」という言葉に、はぁ?とする。きっと、それはある種の比べであろう。坂城杏梨はあの態度をとったのに、お前はそのままだな、というあれか。バカバカしいと思った。なぜ、変わらなければならないのか。むしろ聞かせて欲しいものだ。
「人によって態度変えるのとか、好きじゃないしそもそも。」
イブラヒム「そーゆーもん?」
「そーゆーもの。」
イブラヒム「やっぱ変わってんね、お前って。」
「いいから黙って授業出ろ。」
イブラヒム「気が向いたらだな。」
「うっざ、」
鳴り響いた鐘の音は、どの時間の合図かなんてことさえも、興味がなく、立ち上がりその場所を後にするだけだった。
私天才だから、分かっちゃったんだなぁ。→←case 20 / 捨てたはずの恋心。
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あさき(プロフ) - 完結ほんとにおめでとうございます!!!!他の作品もぜひぜひ!応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) @page50 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 完結おめでとうございます。恋愛の描写もすごく面白かったけれど、それ以上に主人公の考え方が興味深くて読んでてとても楽しかったです。ことりさんの作品は恋愛だけじゃないところが好きです。とても面白い作品をありがとうございました。 (11月17日 1時) (レス) @page50 id: bab803b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
ty. - 完結おめでとうございます!毎日毎日更新楽しみにしてました、次回作待ってます!! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 6fcf6de5f3 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結おめでとうございます!通知が来る度ウキウキして、読んだらいつも幸せでした。ことりさんの作品本当に大好きです。また素敵な作品をお願いします!影ながら応援させていただきます! (11月16日 23時) (レス) @page50 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと逆ハー大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (10月30日 18時) (レス) @page27 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年9月20日 22時