土属性の魔法学生は平穏に暮らしたい。 (ページ7)

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これは少し考えすぎなのかも。ページ7

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十年前に事件が起きた。

記録上から消えた◆◆◆市。そこは、優れた魔法使いが多かった都市だった。かなり昔からあり、皆が憧れるような場所だった。それを、たった一日にて消滅させ、全員の記憶からも、全ての記録からも、名前を消し去ったのは、4年生の叶先輩と葛葉先輩である。この事実を知っているものは、限られている。教師陣と、その他周辺のみが知っていることをどうして私が知っているのか。それが目的のひとつだから。まぁ別にどうこうしようって話ではない。私のやることは、本人たちにその事件というか、その事についての記憶があるのかという確かめと、魔法の強さの確認である。所謂、魔法が制御出来ているのか、について。つまり、少し煽って戦って、制御出来てるかどうか、確認してねピース、と上は言っている。

｢私がさ、可能性があるにしてもさ、酷いと思わない？伊波くん。｣

伊波｢可哀想だとは思う。それで、順調なの？｣

｢んー、信頼関係はないけど、魔法はちゃんと教えようとしてくれてるっぽい。だから、時間はかかるかもだけど、多分タイミングはある。｣

伊波｢それなら良かった。でも、油断はしないでね。｣

｢んぇ、｣

伊波｢相手はさ、たしかに凄い人達だけど、一日で◆◆◆市を記録からも、記憶からも消すことの出来る人たちだから。優しいし面白い人ではあるけどさ、気をつけてね。｣

｢分かってるよ。｣

伊波くん、伊波ライくん。クラスメイトの1人であり、小柳くんが良くつるんでいると言うか、絡んでいる1人。こんな話をしているからには、と思うが、彼は共犯者というのか、仲間である。なんの、って質問には答えられないけど。それでも、水を飲みながら今日のことを思い出した。そもそも初級魔法しか使えないですよ、としている私を上も、教師も、この学校も見逃すことは無い。多方、こっち側が絡んで接触を図ったのだろう。それを察しながらも、ペラペラと事件ファイルを見返していた。たった2人だけが取り残され、あと他全てが消滅した。幼かった叶先輩と葛葉先輩を取り残して。

そんなこと起きたら、私だったら嫌になるし、魔法なんて使いたいとは思わない。人口の約二割が魔法使いであるこの世界では、魔法はそもそも奇跡だと、災いだと言われているのに。魔法で、こんなことが起きたらそりゃ問題にもなる。けど、何が問題かと言うと、この事件を無かったことに処理した魔法省にも、疑念は抱くのみ。考えすぎたかもなぁ。