土属性の魔法学生は平穏に暮らしたい。 (ページ21)

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これはただの仮説に過ぎない。ページ21

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｢まず、聖魔法と闇魔法から。魔法に意思は存在しない、だから、魔法は生きていない。ですけど、恐らく、聖魔法と闇魔法には意思が存在する、つまり生きている。違いますか、｣

叶｢わ、からないな、｣

葛葉｢知らねぇーって、オレたちは生まれた時からだし、｣

｢…………次に、聖魔法と闇魔法は、実態がない。概念という存在である、そのため、魔法を使える叶先輩と葛葉先輩を、巣にすることを選んだ。その際に、力を貸す契約、………その手首のブレスレット模様が、契約魔法の証拠ですよね。だからあなたたち2人は、聖魔法と闇魔法と契約をした。｣

叶｢っ、覚えて、ないかもなぁ、｣

｢そうですか。聖魔法と闇魔法に意思が存在すると仮定して続けます。今から十年前、◆◆◆市が全ての記録と記憶から消滅したあの日、あなたたちは、契約内容に則り、1度身体を自由に使う権利を与えた。それにより、聖魔法と闇魔法は自らの意思にて、複合魔法を使い、◆◆◆市を消滅させた。あくまで、これは全て仮説です。憶測のひとつです、なので間違いがあれば、言ってください。｣

その場は、沈黙に包まれる。
ぎゅうっ、と自身の契約魔法での模様を握りながら、知らないと答える叶先輩は、かたかたと震えていた。それは、肯定にもなるんだよ、と答える前に、葛葉先輩はこちらを見上げる。赤い瞳が細くなりながら、私を捉えた。聖魔法と闇魔法に意思があるかの確認はできない。魔法に意思があるなんて、やはりただの可能性なだけであって、意味は無いのだろう。これ以上は無理か、と思い、見下ろしていた。とりあえずここまでが私の仮説であり、勝手なる憶測だ。だからここで、私はまた新たな契約魔法を結ぼうと考えている。それと同時に、嘘をついた際に傷みが刻まれる類のものを。

何度だって言うけれど、私は下級魔法しか使えないわけじゃない。使わないだけだ。伊波くんに準備するようにと声をかけたのならば、｢待って、Aちゃん。少し、ゆっくりやろう。急いでも、成果が得れないだろうし、｣て言われる。それに、そう？としつつも、嘘をついていることは明白だった。出来るだけ使いたくない事もあるし、伊波くんの道具頼りなのも本音を言うとイヤ。さっさと話してくれたのなら、私も面倒なことはしないのにな、と思いつつ、投げ飛ばした杖を拾いに、少し離れる。

叶｢今から、十年前。僕らは、2つの魔法と出会った。｣

声が、響く。