土属性の魔法学生は平穏に暮らしたい。 (ページ20)

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救うつもりも、助けるつもりもないっすよ。ページ20

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何度だって言うけど、私は先輩たちを救うつもりも、助けるつもりもない。事件について聞きたいだけである。それに、魔法の録画もしたいだけ。それにしても、ガチ本気の叶先輩やばかったな。防御魔法を使っていなかったのは、私に勝てると思っていたから、使わずにいたのだろう。というか、詠唱なしでの魔法の速度は、バケモノだった。今回の勝てた理由は、叶先輩たちが私を弱い、と思っていたことだ。防御魔法を使うまでもない、という認識のおかげで、勝てたと思う。あそこで防御魔法を使われていたのなら、きっと負けていたから。なんなら言うと、葛葉先輩の方が対処出来ずに、腹を殴られていたのは明白だし。

｢すいませんけど、私、先輩たちのこと救おうとか、助けようとか、微塵も思ってないんで。私はただ、過去のことが知りたいだけなんすわ。それに、今を生きてるくせに、過去がどうとか、くだらねぇーて思いますし。｣

叶｢過去のこと聞くくせに？｣

｢矛盾点っすね、んはは。で、教えて貰っていいすか？私、魔力ゼロだし、腹殴られてクソいてぇーし、闇魔法触った余韻で右腕痺れてるんで。伊波くん、録音出来るやつ持ってきてーー。｣

葛葉｢………は？｣

伊波｢あ、はは、お疲れ様です。伊波ライです！よろしくお願いします〜！！はい、録音魔具。｣

｢あざーーっす！！！それに、その手首にあるブレスレットのやつ。それ、契約魔法っすよね？もしかして先輩方、聖魔法と闇魔法と、契約したんじゃないすか。｣

揺らいだ、全て。
目を見開き、何故そこまで、と言いたげだった。これにより、私の仮説が少しづつ確証にもなり得ていくのだろう。これから語るのは、全て私の仮説であり、尚且つなんの証拠もない、憶測でしかない。けれど、もしこれが本当ならば新たな発見にでもなり得るだろう。そのあとの先輩たちがどうなるかは、分からない。魔法を専門に扱っている研究機関に送られるかもしれないし、変わらずにここで過ごせるかもしれない。少なくとも、普通ではない、というのは確かな話だ。魔法を奇跡だという人達に、私は言ってやりたいとさえ思っている。

伊波くんが、録音ボタンを押したのを見た。目を合わせて、頷いて。

｢これは、私の仮説です。憶測です、証拠がある訳でもない。それでも、とりあえず私の仮説を聞いてくれますか。｣

何度でも言う、私はあの日の真相を知りたいだけなんですよ、先輩方。