土属性の魔法学生は平穏に暮らしたい。 (ページ16)

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これ、死にゲーっすよ。ページ16

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なんか、何もしないのってやっぱりやだな。そんなことを考えて、訓練場に行けば、叶先輩と葛葉先輩が居て。｢お疲れ様で〜〜す！｣と言えば、にこやかに笑った叶先輩。そのあとに、杖先を向けられては、私の右頬を掠めた光の弾丸。それに、ひゅっ、と喉が鳴る。

叶｢あの事件のことは、どれぐらい知ってるの？｣

｢まじっすか、こわ。｣

葛葉｢人にはさ、踏み込んじゃいけない部分ってあんの、知らねぇーの？｣

｢…………んはは、面倒くさ。｣

叶｢そもそも、あの事件のことは、まだ僕らが幼いのもあって、｣

｢幼いからとかの理由で、300人以上の記録と存在を消滅させていい訳でもないですし、◆◆◆市の全ての記録と記憶を消滅させていいわけじゃないです。事件の真相とかも知りたいわけじゃないです。あの日、あの時、何があったのかあなたたちが何年も口を閉ざしているから、私はそれを聞き出さなきゃいけないし、そうやって感情が先走って少し制御効かなくなるのも見なきゃいけない。私が、あなたたちを裁かなきゃいけないのが、面倒なんですよ。｣

叶｢…………いいよ、決闘しよう、Aちゃん。僕らに勝ったら、あの日の全部を話してあげる。でも僕らに負けたら、金輪際僕らだけじゃなくて、他の子達にも関わらないで。それと、どうやってその事を知ったか、教えてもらうからね、｣

｢…………おっけーっす、やり合いましょ、先輩方。｣

勝率はきっと0%、0.1%も無いだろう。
そもそも、市を存在ごと消滅させてしまう魔法に、私のくそざこ土ボコ魔法である。何をどうやっても勝てる自信は無い。けど、疼いたのは確か。本来の決闘なら、先生を誰か付けて、公平に見てもらうのだが、これはあまりにも差が酷すぎる。きっと、先生たちも止めるだろう。杖を構えた。正直こんな早くに叶先輩と葛葉先輩とやり合うとは、思ってなかった。もう少し先だと思ったんだけどな、と考えていたから。それに、準備も万全ではない。もし戦うことがあったら、伊波くんたちを呼ぶべきなのに。

ローブの胸ポケットに忍ばせた、記録魔法が付与されているカメラを起動させる。こちらを見つめる叶先輩と葛葉先輩は、落ち着いているように見えた。もっと心を揺さぶって、全力で来てもらわないと、私が怒られてしまう。上が欲しがっている記録は、フルスロットの聖魔法と闇魔法なのだから。死にゲーっすよ、これ。