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踏み込めない境界線の目の前で。 ページ12

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イブラヒム side





あーぁ、ちゃんと言われちゃったな。




思ったのはそれだった。いつも通りの寄り道して、いつも通り気にしてない振りで、一口ずつ交換して。お前が気づいてないだけで、俺はずーっと心臓がバクバクて鼓動してる。このまんま全部聞かれちまってんのかな、とか変なこと考えながら。そりゃ最初なんかこんなやつ恋愛対象外、って思ってたはずなのに、何を間違えたのか片想い拗らせてて。バカみてぇ、て思った夕焼け空の向こう側。俺の方を向いて、明るいようにと笑いながら、信じてる、なんて言葉を投げられてしまう。だから、先に言われてしまった、と思った。もうちょい早く言っときゃ良かったかな、とか。それとも、今日の朝のことを引き摺ってたのかな、なんて。恋愛映画とかみたって、実は好きでしたとか、そんなん早く言えよ、とか思ってたけど、案外言えるもんでも無いって今ならわかる。




多分、関係性が変わることが怖いとかじゃなくて、それで傷つけたらどうしよう、とかの方が近い。怯えた顔をされた朝を思い出す度に、俺はやらかしたな、て思うから、尚更だ。ほんとに、友達としか見られてないってことを突きつけられた気がする。そんぐらいに、俺はこいつのことが好きだったんだな、て感じていた。だから、それに賛同するようにと、お前のことなんか意識してないよ、て言葉をなげかけて。それに安心した顔をするから、俺はどんな気持ちでいればいーのか、分からんかった。駅に着いても、線が違うからそこで別れて、電車に乗りこんで。ドア近くに立てば、電車が動き出す。スマホを眺めていたのをやめて、外を見れば窓に写る自分の顔に、失笑を思わず零してしまう。





イブラヒム「ひでぇ顔、」





ぽつり、呟いた。はは、て笑いながらも、思わず頭を壁に押し付けて、なんだかなぁ、てしていた。そんなの知らないようにと、撮った写真を送ってくるA。それに既読なんかつけずに、かちゃって音を立てて、画面を消した。暗い画面に写る自分の顔なんてものは、いつまでも酷い顔をしていたと思う。引かれてしまった境界線の向こう側で、こちらを振り返る素振りもない、Aの背中を見つめることしか出来ずにいる。それぐらいに、俺はこの線を飛び越えれる自信が無かった。それと同時に、安心させるための言葉を上手く紡げたかさえ不安になるほどだ。割と、意気地無しじゃんね、俺。あーぁ、どうしようもないな、これ。

君が告白を断る理由。→←どこを意識しろと。



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作者名:ことり | 作成日時:2024年2月8日 22時

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