どこを意識しろと。 ページ11
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「よくさぁ、ドラマとかアニメとか、漫画とかでさぁ。実は好きでした、とか。自分は異性として見てました、とかあるじゃん。」
イブラヒム「あんね、」
「怖くないのかな、って思うしさ、嫌じゃないのかな、って思うの。」
イブラヒム「なにが。」
「関係が崩れることに対して、怖いとか嫌とか思わないのかなって。」
イブラヒム「あー、…………なるほど?」
「私信じてるよ。」
イブラヒム「は、」
「イブは、そんなことしないって。」
ズルい女になってしまったのかもしれない。フラペチーノはとうに飲み終わっていた。空っぽになった容器を捨てては、けらりっと軽く笑いながらそんな話をする。聞いているんだか聞いていないんだか、不明のような相槌をされながらも、私は思い出す。アニメや漫画、ドラマでよくある、実は好きでしたとか。ほんとーはそーゆー目で見てました、とか、怖くないのかな、って思ってしまう。例え、イブが私にどんな感情を抱いていても、私は先に言ってしまうんだ。その心を殺すように、まるで出さないで、て願うようにと。数歩先を歩いて、くるりと振り返って、明るく笑って。そんな事しないって信じてるからね、て呪いの言葉を言うの。少し目を見開いて、目を逸らされて、何を思ってるのかなんて、私には分からない。
サイテーかもな、私。ぼんやりと、そんな事ばかり考えていた。境界線を敢えて引いた、だって飛び越えないで欲しいと願っていたから。もしかしたら、こんな感じの日々が無くなるかもしれない、ていうことの方が嫌だったから。イブは、少し困ったような顔をした後に、いつも通り笑って「お前のどこを意識すんだよ。」て言葉をなげかける。それに、少し驚きながらも、私は安堵していたし、良かったって思ってしまったんだ。人の恋心をぐしゃりと握り潰して、何事も無かったようにと振る舞う。多分、そうしなきゃ普通はやってこないから。今も覚えている。中学時代に話してただけなのに噂になったあと、ずっと好きだった、て告白された時のとこを。
結局それで、関わる回数が減っててなったのを覚えている。だからこそ、許してはいけないのだ。そんな関係に発展しようとする気持ちも、何もかも。ね、イブ、お願いだからイブだけはやめてね、て私は願っていたんだ。夕焼け空が、夜空に染まっていくのを、私は見つめることもしないでいた。
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作者名:ことり | 作成日時:2024年2月8日 22時