167 ページ45
•
しかしそれに反応したのか
半呪霊は突然襲いかかってきた
「っ！！！」
こちらも対抗するように式神が襲う
暫く並行戦が続いたが
何分気が動転していることもあって
呪力が安定していない
「助けてくれ！！！」
突然、
先程まで意識が危うかった男が
ハッキリとそう叫んだ
「っ………！！」
そこでピタリと彼女の動きが止まる
「………A！！」
遠くから五条の声が聞こえてきた
「出来ない………」
Aは全身を震わせて
掠れた声で呟いた
「何してんだよ！！！
早く＿＿」
五条は叫ぶが彼女は動きが止まっている
＿＿人の命を奪う
その罪悪感が
彼女の心を支配してしまったのだ
だがそれが引き金で
彼女に隙きが生まれてしまう
刹那、
呪霊は距離を詰めて飛びかかろうとした
「A！！！！！」
とっさに助けようと五条が手を向けたとき
その声とほぼ同時に
勢いよく呪霊が切り裂かれた
彼女の式神である
猫の爪が止めを刺したのだ
「っ……」
彼女は荒い呼吸を繰り返している
足元には泣き叫んでいた男が息絶えていた
しかし助けた男はもう一人いる
Aがそちらに目を向けると
男は気を失っていた
「出来たじゃん」
五条から労いの言葉が出た途端
彼女はどさ、と膝から崩れ落ちる
＿＿殺したんだ、人間を
震える自分の手をみると
まるでそこが
鮮血で染められているような気がした
「うっ………」
＿＿奪った、命を
己がした事への恐怖と＿＿
＿＿苛む罪悪感と
彼の形は保てたという思いと＿＿
＿＿余儀なく選択させられたとはいえ
殺すという選択しか出来なかった
苦しさと
仕方がなかったと
言い聞かせようとする
自分への混乱と＿＿
様々な思いが彼女の中を駆け回る
「A」
そこで五条の声が頭上から聞こえてきた
「僕言ったよね。
救える人と救えない人がいるって。
こんな事が起きたとしても
囚われなくていい。
それは君だけのせいじゃないって」
そういうと五条はほら帰るよ、と呟く
Aは様々な思いから流れ落ちた涙を
幾千も溢しながら亡骸の手を握ると
「御霊の……ご平安をお祈り……します」
と静かに祈りを告げた
＿＿＿＿
＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 391人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
