ごめんね、それでも好きだよ4 ー徒恋ー【五条悟】【夏油傑】 (ページ44)

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「緊張してる？」
「………」
「大丈夫でしょ。
　僕がどれだけ稽古つけたと
　思ってるの」
「っ……」

それでも呪力を使うのは初めてに等しい

「普段神力に頼ってるとはいえ
　君だって
　生まれながらに呪力は流れてる。
　それに上乗せして
　神力が使えてるんでしょ？」

ただ正の神力が強すぎて
負の呪力が同時に使えないだけで

と五条は付け加えた
だからと緊張が解れるわけがない

その上目の前にいるのは半分人間だ

＿＿今から自分は
人を殺してしまうのだ

どうして落ち着いていられようか

「っ……」

＿＿せめて原型を留めていなければ
その意識が薄れるだろうか

＿＿いやそんなわけがない

＿＿人は人だ
それに何も変わりはない

時折助けて、と発されるそれは
意識があるのかないのかわからなかった
丁度その時
その半分呪霊の男と向かいあう場所から
別の呪霊が現れてしまう

「親玉はこっちか。
　ったく次から次から面倒くせぇ」

五条はそう言うと、そっちは任せたよ
とこちらに背を向けた

「っ……」

五条がみていないというだけで
まるで意識が変わり
Aは益々混乱し始める
既に汗でぐっしょりと衣類は濡れていた

「落ち着け。集中しろよ」

不意に背後から聞こえた言葉にハッとする

＿＿かつて夏油が自分に告げた言葉と
よく似ていたのだ

『誰でも初めては緊張するものだ。
　でも万一のことは考えなくていい
　私達がいる限りそれは保障できる』

あの時の言葉が繰り返されるように
五条から告げられる

「初めてって確かに緊張するよね。
　でも今失敗なんて考えてても
　仕方ないよ。
　……それに今のAになら出来る」
「……はい」

Aは深く息を吸い
それをゆっくりと吐き出した

それでも緊張から
足が震えているのは事実だ

「タ、タスタ……ス…ケ………」
「うん……助けるから……。
　助けるから……」

＿＿だがその前に彼を助けなければ

人として、最期を迎えさせねば＿＿＿

意を決してAは
猫の式神を出現させた

＿＿＿＿

＿