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「でも呪霊は映らないんじゃ……」
「映らないよ。
だから心霊現象として売り捌くの」
困惑した顔のAに対して
五条はそう教えた
「確かに全部マジだし
飛ぶように売れるだろうけど
それでそうなっても自業自得でしょ」
「五条さん……！」
「自分達が好きで入って
食べられたから助けて下さいなんて」
「五条さ＿」
彼女が五条を止めていたその時
「金にして何が悪いんだよ！！！！」
と言葉が返ってくる
「恐怖映像がみたいっつー
皆の望みを叶えてやってんだよ！！
それを商売にして何が悪いんだ！！！
これで生活してんだよ！！」
「っ…」
「だってよ、A」
彼女の方を向く五条の顔は
とても冷たかった
「バーで僕が何を話したか
覚えてる？」
「！」
あの日、五条は
世界はそんなに優しくない
と説いてきた
それだけではない
＿＿皆が皆優しいわけではなく
悪意の人間もいる事
呪いを悪用して金儲けする人もいる事
全くそのつもりがなくても
取り込まれてしまう人がいる事
でもその全員助けられるとは
限らない事
時には敵味方関係なく、
人が死ぬ事がある事
気の晴れない内容の仕事も多い事
“でもそれが日常的にある事”＿＿＿＿
「僕はいずれそういうとこにも
連れるつもりだから
って言ったでしょ？」
その言葉で
Aは今がそうなんだと気がついた
自分は今、五条に試されているのだ
そして
＿＿これから自分は……
人を手に掛けるのだ＿＿
「な、何、何何な…にしてんだ…よ……
は、はや、はやはやハヤク…ハヤク…」
その間も男は何かと叫んでいたが
徐々に言語もおかしくなっている
「あーあ。
完全に取り込まれてるね。
もう駄目だよ」
「っ」
「ぼんやりしてても
彼は呪霊の餌食だし」
五条の言うとおりだ
何もせずにいると
彼は体の全てを奪われて
人として死ぬことは困難だろう
「A、どう転んでも
もう彼は助からないよ」
「……」
今自分が出来る事とすれば
まだ彼が人の形を保っている間に
一刻も早く
彼を楽にしてあげることだ
＿＿考えている場合ではない
Aは覚悟を決めて
静かに口を開いた
「……お戻りください」
彼女は神使にそう告げ
フッと消してしまう
「ごめんね。
後で沢山卵をあげるからね」
Aはそう話すと
呪力を使った式神に切り替えた
＿＿＿＿
＿
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