ごめんね、それでも好きだよ4 ー徒恋ー【五条悟】【夏油傑】 (ページ5)

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「A」
「はい？」

それはいつものように
五条との稽古が終わった後
唐突に言われたことだった

「ご飯食べ行こ」
「……え？」
「銀座に
　美味しいところがあるんだけど」
「なんで私が貴方と……？」
「たまにはいいかなって。
　らしく暮らすためにも」

＿＿時折
全くよくわからない提案をしてくる
しかし今日のこれは
今までの何よりも意味がわからない

とはいえ
この男を夫にすると決めたのは
他の誰でもない自分である

そんな人の提案には従うべきだ
嫌でも仕方がない

それが旧家の定めだ
うんそうだ
やむを得ない

「わかりました」

Aは頷いた

＿＿＿
＿

ジャージから着替え終わると
二人はすぐに銀座に向かい出す

＿＿デートみたいだねぇ

と一つ間違えば
“勘違いされても仕方のない”
事を言っている男の隣を歩きながら
Aは相変わらず人目を引く彼に
そうですね、と返した

「その気のない人に
　そういう事言うの
　やめたほうが良いですよ」
「え？」
「多分他の人は
　そういうので勘違いするんですよ。
　＿＿今度は叩かれるじゃ
　済まないかもしれませんよ」

足の長い五条は一歩が大きい

それに追いつこうと
自然と足早に歩いているので
カツカツとテンポの早いヒールの音が
彼女に合わせて響いてる

「まだその話引きずってんの？
　やめてよ」
「やめません。
　貴方こそ自覚を持って下さい」
「え、でもさ、
　自分の奥さんになる人にする分には
　良くない？」

＿＿何も考えていないからこそ
発言しているというか

＿＿そういえばこんな人だったと
Aは呆れていた

そうして
五条に導かれるまま店内に入ると
二人でカウンターに腰を掛ける

「お任せで」

にこにこと笑みを浮かべながら
そう告げる五条の隣で
Aはほんのりと温かいおしぼりで
手を拭いていた

「お仕事はどうです？」
「順調だよ。
　Aは？学校はどう？」
「お陰様で」

二人が話しているうちに
寿司が一貫、また一貫と出てくる

それを口に運ぶと
そのあまりの美味しさに
Aは自然と口にしていた

「美味しい」
「でしょ？僕の一押し」

得意げに話す五条に向かって
不思議に思いながらも頷く

無事に食事も済ませ
店を出た途端
次はバーに行こうと
五条は半ば強引に彼女を連れ出した

＿＿＿＿

＿