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「本当は凄く嫌。
死んでほしくない。
殺したくもないし生きててほしい。
だけど“夏油君だけ特別”なんていけない。
あの子は泣きながらそう話していたよ」
「……」
「それでも自分の目で一番近くで
その全てを見届けたいらしくてね、
君と結婚を決めたらしい」
「……知っています」
「すまなかった」
そこで大翔は五条に頭を下げる
「やめてくださいよ。
別に私は怒ってませんし」
「五条君は夏油君の一番の親友だから
きっと彼を良く知ってる。
だから
自分が傑を止められなかったとしても
君ならきっと“一番良い形で”
それを終わらせることができる」
「っ」
「そんな事を言い出し
君に辛い事を背負わせたことが
ずっと気がかりではあったんだ」
頭を垂れたままの大翔に対し
五条は目を見開いていた
「だから君に
自分の人生をかける事にした。
人の命を奪う代償を
一緒に背負ってもらうことにした、
あの子は確かにそう言った」
「……」
「他の人は《呪詛師》
としてしか見てくれなくても
君なら《夏油傑》として
見てくれると信じてる。
だからついていく、ともね」
「はい」
「それは
“君に辛い選択をさせた”という事だ。
＿＿Aだけならまだ良い、
＿＿だけどそこに他者を巻き込んだ。
その重みをあの子はまだ、
気がついてないかもしれない」
大翔はそう告げるとゆっくりと顔を上げる
「五条君、嫌なら＿＿」
「お義兄さん」
そこで五条が声にかぶせた
「私はAと離れませんよ」
「…！」
「むしろ良かったと思ってます」
五条から出た言葉に大翔は驚いた顔を浮かべる
「彼女と結婚が決まったその背景は
お義兄さんと彼女がやり取りした内容と
ほとんど変わりません。
それに私も同意したんです」
「そうか…」
「はい。なので心配は無用です」
五条はAを見ながらが話を続けた
「彼女だけが
その道を選んだんじゃありませんよ。
私もそれを一緒に選択したんです。
一緒に同じものを見る
そんな地獄を選んだんですよ」
それに、と五条は笑う
「この世界はどう転んでも地獄ですしね」
ところで、と五条は問いかけた
「お義兄さんは
私とAの噂って何か知ってますか？」
「噂？」
「どうやら何かあるみたいなんですけど」
＿＿＿＿＿
＿
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