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「へぇ」
Aの声色が段々と低くなっていった
「私達どういう関係？
付き合ってるよね？
って聞かれたから
僕婚約者いるよ？って」
「それで殴られたんですね」
呆れたようにそう放つAは
いつの間にか
ローテーブルに肘をついて
聞いている
「そんな目で見ないでよ」
「逆になんで
見られないと思ったんですか？」
淡々と言い放ちながら体勢を戻し
まぁ、と五条が抑えている手を退け
再度頬を見た
「これで済んだだけましですね」
「……」
「でもなぜ殴られるフリで
済まさなかったので？」
「…一般人にそれはバレるかなって」
「そうですか」
「なーに？怒ったの？」
「いいえ、呆れはしてます」
澄ました顔でそう話しながら
Aは軽く頬を叩く
「いっ……何すんだよ！」
「罰です」
「怒ってないんじゃなかったのかよ！」
「怒ってませんよ。
私は貴方じゃなくて
女性の味方なんです。
泣かせるなんて最低」
はぁ、とため息をつくと
五条さん、と声をかけた
「貴方がどこで何をしようと
別にそれは勝手です。
＿＿大体この関係も
“あくまでも契約上仕方なく”
なので貴方もお嫌でしょう」
既に指で遊び始めている五条に対して
Aは話を続ける
「私が貴方に
無理からお願いしたので
それは別にいいです。
＿＿咎める事はしません」
そういうと
ただ、と話しながら
五条の指を止めた
「程々になさらないと
痛い目見ますよ」
特にあなたは、と
こちらをみている五条に言葉を紡ぐ
「顔だけは抜群に良いので」
「だけ？」
「だけ」
そうして
はぁ、とため息をつき
心配して損しちゃった、
と独り言のように呟いた
「私もう寝ますね。
あとは好きにしてください」
そう告げるとさっさと立ち上がって
寝室に戻ってしまう
五条はそんな彼女の背中を
ただぼんやりと見送っていた
＿＿＿＿
＿
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