20.それぞれの家系事情2 ページ24
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少年に見つめられた真希先輩はしばらく黙ったあと、観念したようにため息を吐き口を開く。
「あー、わかったと思うが私は禅院の出だ。
説明の途中1度メガネを外して、再びかけ直しながらそう言った真希先輩。
「なるほどのぅ、、どおりで特殊な気配を感じたわけだ。さぞ、生きづらいだろう」
真希先輩の話を聞いた少年は特に同情するわけでも憐れむわけでもなく、淡々とそう言う。
「あぁ、気にはしてないさ。私の方から出ていってやったしな」
鼻で笑うようにそう言った真希先輩。
一人暮らしをしていることは知っていたけども、そこまでは知らなかった…と少し俯く。
私の表情をちらりと見たのか、小さく笑って着物を少し引き摺って私に近づく。
「おぉ、怖い怖い。とって食ったりはせんよ、」
「…」
少年の声が頭の上から降ってきたことに気づき顔をあげれば、恵が私の前に抱きしめるようにして守りの体制になっていた。
「ははは、主はその
ニコニコと笑みを浮かべながら私に視線を向ける少年に少し肩を揺らす。
「主はまだ此方を知らなすぎる。力を使ったのは、今回で何度目だ?……そうか、2度目か。いいか、その力をきちんと扱えるようになってくんだよ?そうさな、家に帰ったら母親にでも祖母にでも聞くんだ。主が聞いて初めて、力を使えるようになるさ」
「え…」
そう言って少年は、くるりと体を横に捻る。
「うわっ!?」
ぽんっ、という音と煙とともに、少年の姿は小さな白い狐に変わる。
「ちょ、どこ行くのよ!」
少年が外へと続く襖に近づくと静かに開き、そこから外へ足を出そうとする少年に野薔薇ちゃんが声をかける。
「帰るのよ、元の場所へとな。元々、お主らが調べに来た事件は俺の仕業だ。神無月の者…その女子を見るためと、先代からの言伝を伝えるためにのぅ」
そう言って、少年だった狐は駆け出して、空を走りながら鳥居の外へと出ていく。
その瞬間、空間が歪み、衝撃とともに景色が変わったかと思うと、林に入る前に私たちがいた所へ戻ってきていた。
「え〜……」
「なんなんだよ、」
突然の出来事に、未だ理解が追いついていない虎杖くんと、背中やお尻を地面にぶつけたことに対して文句を言う真希先輩。
……
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ささまめ。(プロフ) - 華さん» ありがとうございます、! (2020年1月26日 16時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 更新頑張ってください! (2020年1月25日 15時) (レス) id: 8325108de9 (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 咲さん» わー!嬉しいお言葉ありがとうございます!!そのお言葉を糧に頑張って更新していきますねー!! (2020年1月7日 11時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - すごく面白いです!これからもがんばってください (2020年1月6日 22時) (レス) id: a96e485a5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2019年8月29日 21時