8.依頼 ページ12
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真希先輩の真剣な面持ちに、少しだけ背筋を伸ばして耳を傾ける。
「部活紹介でも言った通り、ここは学校の七不思議とか怪談とか、オカルト現象を検証したり、調べたりするっていう名目で活動してる同好会だ」
「はーい、部活と同好会の違いは?」
真希先輩が話を区切ったところで、野薔薇ちゃんが興味深そうに手を挙げて尋ねる。
「あー、最初はみんな同好会で始まるんだが、生徒会に活動報告書を提出して、その成績や功績が認められれば部活に昇格するんだ」
「…なるほど」
ま、特に分かりやすいのは運動部とか吹奏楽とかだな、と笑顔で言った後、オカ研はこれと言ってわかりやすい成績ってのはないからなぁ、と呟く。
「それで?」
渋い顔をした真希先輩に、話を続きを促すように声をかけた恵に反応して、あぁ、と話を戻す。
「うちはそんなのないから、適当にそれっぽいのを報告書に書いて活動してるせいか、まぁ、生徒会に目をつけられてる同好会の1つだな」
苦笑い気味にそう言った真希先輩を、苦労しているんだな…と心の中で労う。
「で、本題だが 私らオカ研は目立った報告書を書けないってところは間違って居ないんだが、それは表向きで、本当は本当に"そういう"現象を調べて確かめることをしてる」
「えっ!!!!!」
「うるっ、さ…」
虎杖くんの驚嘆に耳を塞いで迷惑そうにそう呟く野薔薇ちゃん。
わりぃ!と謝っては、再び、マジか…とショックを受ける虎杖くん。
感情忙しないな。
「…つまり、さっき言ってた"依頼"ってのは……」
「あぁ、全部がそうだとは言わないが、その中の4から5割ぐらいの確率で"本物"が入ってるな」
恵の全てを聞かないような質問に、的確に答える真希先輩。
そんな中私は一松の不安を覚える。
「真希先輩、私、そういうの見えませんよ…?」
恐る恐る口を開いてそう申告すれば、数回目を瞬かせたかと思うと、ふっ、と小さく笑う。
「いや、気づいてないのか?お前は、見えるよ」
「え…?」
まるで私のことを分かっているようなその口ぶりに、心の奥の方で何かがザワり、と蠢いた気がした。
…………………
それから暫くして、元気に教室の扉を開いて入ってきたのはパンダ先輩と狗巻先輩。
「遅かったな」
真希先輩が静かにそう言えば、悪い、なんて言いながらも隠しきれない喜びを感じる。
「まぁまぁ、持ってきたぜ、仕事を」
心底嬉しそうに口角を上げたパンダ先輩がそう、告げた。
………
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ささまめ。(プロフ) - 華さん» ありがとうございます、! (2020年1月26日 16時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 更新頑張ってください! (2020年1月25日 15時) (レス) id: 8325108de9 (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 咲さん» わー!嬉しいお言葉ありがとうございます!!そのお言葉を糧に頑張って更新していきますねー!! (2020年1月7日 11時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - すごく面白いです!これからもがんばってください (2020年1月6日 22時) (レス) id: a96e485a5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2019年8月29日 21時