9:とんでもない可能性 ページ9
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黙ったままの私を不思議に思ったのか、五条先生が、おーい、と目の前で手を振る。
｢あ、ごめんなさい…普通の高校生だなあって思って、えっと、透河Aです、よろしく｣
｢おう！俺、虎杖悠仁な、よろしくな！透河！｣
元気いっぱいのキラキラした自己紹介を返してくれる彼の笑顔が眩しくて、思わず目を閉じそうになる。
危ない危ない。
浄化されるかと思った。
手を握った虎杖くんに浄化されないように、頭をブンブン振れば｢どーしたー？｣と顔を覗き込んでくるから、慌てて五条先生の後ろに逃げる。
｢えﾞ、俺嫌われた？｣
｢そんな事ないデショ｣
｢いや、でも、隠れてるジャン｣
｢………犬かよ｣
おい聞こえたぞ、そこ。
伏黒くんがボソリと呟いた声にギッと睨めば、眉をひそめて、口をへの字に曲げる。
｢とりあえず、悠仁には、これあげるね｣
｢へ？｣
ニコニコとそんな私たちを見ていた(？？)五条先生が、ゴソゴソとポケットから何かを取りだしたかと思えば、虎杖くんに渡したのは、先程話していた宿儺の指。
｢え、大丈夫なんですか？｣
｢それを確かめるためだよ｣
五条先生を見上げながら言えば楽しそうにそういう五条先生に｢この人はこういう人だ｣と呆れ顔を見せる伏黒くん。
｢うーん、とりあえず、食うか｣
｢(食うんだ)｣
五条先生から指を受け取った虎杖くんは、それを摘んで口に含み、そのまま飲み込んだ。
その途端、虎杖くんの雰囲気が一気に変わる。
それと同時に、五条先生の指がピクっと動いたのが分かった。
｢……っく、くくっ、うぇ、まっじぃ｣
｢うん、宿儺相手に余裕で自我を保ててるね｣
直ぐに元の雰囲気へと戻って、あろう事か指の味についての感想を語る。
｢衛生管理…｣
若干引きながら、目の前で2本目の指を食べた虎杖くんに、とんでもない可能性を感じた。
………
続く (更新停止中)
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作者名：ささまめ。 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時：2019年8月24日 14時
