5:瞳 ページ5
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私の声を聞きつけて部屋に入ってきたのは、伏黒くんで。
五条先生を見ては、軽蔑したような視線をあびせながら、わりぃ、と言いながら五条先生を引っ張って行った。
いや、伏黒くんは悪くないよ、大丈夫。
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朝の身支度を済ませ、母が用意してくれていたカバンを持って、共有スペースに行けば、既に準備を終えていた伏黒くんがソファに埋まるように座って読書をしていた。
「うっす、おはよう」
「…ああ、おはよう、…行くか」
「うん」
声をかければ、本を閉じて視線を上げ挨拶し返してくれる。
あれま、イイコだこと。
伏黒くんは、今朝五条先生を部屋から連れ出して行ってくれたあとのことを話してくれた。
「五条先生は、ああいう人だ。戸締りしても、結構な確率で部屋に入られる。というか、あの人の前で魔術なしの施錠なんて、閉め忘れた南京錠をぶら下げてるようなもんだ」
「マジかよ…」
「あの人、ああ見えて魔術師界では最強だからな…特に、お前のこと気に入ってるみたいだから、まじで気をつけた方がいい」
「うへぁ…」
スンッとした表情でえげつないこと言うんだな、君。嫌いじゃないや。
そんな話をしながら暫く歩いて着いたのは、大きな門。まるで、絵本の中のお城の門のような、それはすごく立派な門で。
「残念なのはちょっと暗いってところかな…」
「ん、なんて?」
「いや、なんでもないよ」
小さく呟いた言葉は伏黒くんには聞こえていなかったようだ。危ない危ない。
それにしてもでかい門だなぁ、なんて私の身長の何倍もあるその門を見上げていると、後ろから足音が聞こえてくる。
「やっ、さっきぶりだね。お待たせ」
「………」
「えっ、そんな怖い顔しないでよA〜」
「そりゃしたくなりますわ。人の、しかも、女子高生の寝所に無断で入るなんて、幾ら先生が強くてもダメですよ!」
「えぇ?じゃあ………これだったら?」
「はぁ……」
「うわ、」
正論だわ、なんてドヤ顔してればイタズラに口角を上げた五条先生は、スルりと目隠しを外して首元まで下げ、顕になったその瞳で私を見つめる。
隣で伏黒くんがため息吐いたの聞こえたんだけど??
「どう?」
「どう………って、なにがですか?」
「え、僕の顔みて、目見て何も思わないの?ドキドキ〜とか、五条先生ッ…♡とか?」
「…………ん?」
…んん?
………
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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2019年8月24日 14時