40. Myside ページ40
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いつも通り夕食の準備をしていると、珍しくチャイムが鳴った。
『今行くねー!』
コンロの火を止めながら声を張り上げて、ぱたぱたと玄関まで走る。
玄関の鍵を回して扉を押す。
そこに立っていたのは傑ではなかった。
『なんで、ここに』
見ればその服はべったりと赤い何かで汚れている。
そして、その赤に混ざって傑の残穢も。
何千回と見たそれを、私が見間違えるはずがなかった。
『うそ』
嘘って言って
『いやだ』
ゆら、と玄関の中に歩みを進めた悟に抱きしめられる。
思わず膝が抜けて、抱きしめられたままその場にへたり込んだ。
何も言われなくても分かった。
—— 悟が傑を殺したんだ
『おねがい』
『さとる』
『うそっていって』
何も言わない悟が、鼻を啜ったのが聞こえた。
「ごめん」
その短い一言に、傑がいなくなったあの日から溜め続けた涙が堰を切ったようにこぼれ落ちた。
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時