39. 五条side ページ39
五条side
結局百鬼夜行はブラフで、狙いは高専側の術師の足止めにすぎなかった。
傑の本当の目的は高専に残った憂太の殺害と特級過呪怨霊 里香の獲得。
現場に出ていたパンダと棘を急いで送り返して、新宿の混乱を収めて高専に帰った時には、もう全てが終わっていた。
「……詰みか」
残穢を辿って歩いていくと、片腕を落とされて塀に持たれる傑を見つける。
「……傑」
「君で詰むなんてな」
はは、と力なく笑う傑がもう助からないことは嫌でも分かった。
「…何か、言い残すことはあるか」
大事な大事な、たった1人の親友。
「……」
しばらく思案した傑が、落とされていない方の腕で何かを取り出した。
こちらに向かって投げられた血まみれのそれを受け取る。
「……鍵だ」
言われなくても何のことかは分かった。
悟、と傑が静かに呼びかける。
「あの時は言えなかったけれど…
Aを、頼むよ」
—— どうか、Aが幸せでありますように
それが自分の一生の願いだと、傑は言った。
「……お前が悲しませてどうするんだよ、傑」
物言わぬ屍となった親友に向けた言葉は、誰にも拾われずに虚空に消えて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 491人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです！ (10月2日 1時) (
レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります！切ない系なのがまた良いです！更新頑張って下さい、応援してます！ (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…！どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せつな | 作成日時：2023年9月28日 21時
