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31. 夏油side ページ31

夏油side


ぱたぱたぱたと、Aがこちらに走ってくる音がする。


『すぐる!』


家に帰ると、こうしてAが出迎えてくれるのが日常になりつつあった。

Aの後ろにあるはずのない尻尾が見える。


「ただいま。良い子にしてたかい?」

『うん』

「良い匂いがする。今日は何を作ってくれたのかな」

『一緒にたべたくて待ってたの』

「先に食べてていいって言ったのに」


—— ああ、これが幸せ。


「手を洗って来るよ」


猿どもに触れた手、消毒したとはいえ、こんな汚い手で尊いAに触れてはいけない。


『うん、あっちで待ってるね』


この10年にあったことを少しずつ話しながら、食事をとり、ソファで寄り添うのが日課だった。


言葉を選びながら今の私の活動について話すと、Aは静かに耳を傾けてくれる。

しばらくして、Aが話し始めた。


『じゃあ、今は、そういう…弱い呪霊を集めてるの?』

「うん。そういうことだね。教祖様のフリさ」


なんだ、とAが笑った。


「傑がどうしても非術師が嫌いでもさ、私からしたら、ちゃんと助けてあげてるってことになるよ。
 ちょっと安心した」


嬉しそうに微笑む彼女の頭を撫でてやる。


「…それは、よかった」


今日も猿を殺したこと、
低級呪霊を集めている理由。


楽しそうに生徒との話をするAには伝えられなかった。


 

「…窮屈な思いをさせてすまないね」


悟対策で彼女は外に出れない。


『ううん。傑がいてくれたらそれでいいの』


—— だからこそ、やれると思った。

秘密裏に目的を果たして、その世界で彼女と生きる。


彼女の生徒を手にかければ、きっと悲しませてしまう。

…それでも、いつか分かってくれる。


そう、信じていた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時

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